第26章 エキシビションバトル
ここで若干時計の針を戻そう。
場所はブレーン専用控え室。
「...フロンティア名まで決めてたとかはまぁ良いんですけど、私今こんな格好ですよ」
いつの間にか外堀をほとんど埋められていたフェリシアだったが、今の自分の衣装があまり、いや、非常に宜しくないことに気づいたのだ。
「流石にリッカイのジャージだと怒られちゃうだろうし」
バトル部の皆とかスクールの先生とか、と続けるフェリシア。
まさか、バトルフロンティアのブレーンの一角がスクールジャージだなんて、一歩間違えれば一大事である。
「あぁ、その事なら大丈夫!」
「へ?」
自信満々に言うエニシダ。よく見れば、彼の手許には何やら置かれているのだ。
「既に発注済みだからね」
(...まさか、最初からそのつもりだったの...?)
あまりの準備の良さについ疑ってしまうフェリシアだったが、もう後には引けない。潔く腹を括ることにした。
「...じゃ、ちょっと着替えて来ますね」
数分後。
「...お待たせしました」
「おぉ...!」
「わぁ...!」
フェリシアが姿を見せると、エニシダとリラは感銘のため息をついた。
水色のスラックス、白のブーツに同色の半袖シャツ、青いコート、そして青い石が嵌め込まれたループタイ。何時もの青いグローブとゴーグル、マフラーとZパワーリングにメガブローチはそのままで、髪は一本の三つ編みにされている。
「似合ってるよフェリ!」
「ほんと?ありがとリラ」
女子二人のほのぼの空間に、エニシダはちょっと居心地悪そうだったが気を取り直すように咳払いをした。
「...さて、今日のイベントなんだけど、この地方にバトルフロンティアのことを知ってもらうって以外にも2つ目的があるんだ」
「目的、ですか?」
「うん。まず1つはニッポン地方の女性トレーナーへの差別を無くすこと...それから、」
一旦切ると、エニシダは長く息を吐いた。
「...デスサイズ団の炙り出し」