第25章 誘拐?!
「おはようみんな、遅くなってごめんね」
「「「「「「「......」」」」」」」
「あれ?」
「ヒーコ?」(起きてる?)
リッカイレギュラー陣に声をかけるフェリシアだが、全員唖然とした表情でフェリシアを凝視するだけだった。因みに赤也、今回もフェリシアの腕の中でぐったりとしている(つまりお姫様抱っこ)。
「...えっと、フェリ?」
「ん?どうしたの精市君?」
「今、どうやって降りてきたの?」
「途中までハヤテに乗っけてもらって、精市君達が見えたから飛び降りたの」
「ハヤテ?」
「私のポケモン。ピジョットだよ」
「...飛び降りたことにも驚いたが、さっきのサイコキネシスは?ピジョットもヒコザルも、サイコキネシスは覚えない筈だが」
「...あぁ、それはね、」
柳の問いに、フェリシアは悪戯っぽく笑うと、
「...サイコキネシス、」
「「「「「「「?!?!?!?!」」」」」」」
フェリシアが小さく呟くと、彼女の腕の中にいた赤也が蒼い光に包まれふわりと宙に浮かんだ。フェリシア自身も淡く光っている。
「...私ね、生まれつきなのか何なのかわかんないんだけど、サイキッカーの素質があるみたいで、数分ぐらいならサイコキネシスが使えるの」
「マジかよ...初めて見たぜ」
「そうなの?以外といると思うけど」
エスパー専門のジムリーダーさんとかそのお弟子さんとか、と続けるフェリシアに、部員達は改めて自分達の知っている世界の狭さを痛感したのだった。
数分後。
無事に受付を済ませたリッカイは一行は宛がわれた控え室にいた。
室内は広く、今回のイベント――バトルフロンティアのフロンティアブレーンとのバトル――に参加するであろう人間が沢山いた。
...が、
(やっぱり、思ってた通りだ)
この地方では、女子がポケモンバトルをすることは好ましくないとされている。そのせいだろう、室内には女子が一人も居らず、リッカイ陣――厳密にはフェリシア――が入室した瞬間、室内の空気が凍った。
(今回のイベントで、どこまで認識を変えられるか...)
その時だった。