第24章 良い報告と悪い報告
「あの組織、そこまで巨大で悪質だったか...」
「フェリはもう接触したんだよね」
「うん。初めてニッポン地方に来た日にね...襲ってきた奴等はジュンサーさんに引き渡したけど」
「その事もこっちでは把握してるよ」
数枚紙束を捲るフェリシア。
その目には厳しい光とXの紋様が浮かんでいる。
「ごめんリラ、貴女を責めるつもりじゃないけど、何故国際警察は今頃動き出したの?この様子だと、かなり前からデスサイズ団は活動してたみたいだけど」
「...今は改善されてきてるけど、少し前までニッポンはイッシュと同じだったの。閉鎖的で、他の地方の情報も入ってこない、その逆も然り。何をするにおいても一々上層部の許可を得てからじゃないと駄目だった」
「そうだったの...ごめん、責めるようなこと言っちゃって」
「ううん、仕方の無いことだもん。今回私達が動けるようになったのはフェリの活躍もあるけど、もう1つあるの......君のお父さんのこと」
「え?」
フェリシアは驚愕の表情を浮かべた。
「プラターヌ博士はメガ進化の研究の第一人者。その第一人者が襲撃されたのよ?一歩間違えればプラターヌ博士はどうなっていたかわからない。だから、この話をネタにニッポンの上層部に掛け合ったの...私達国際警察が自由に動けるように」
「リラ...」
リラの顔には疲れの色が見える。
どうやらニッポン地方の上層部はかなりめんどくさく、手強かったようだ。
「で、これはハンサムさんから。フェリに持っててもらいたいの」
リラはポケットから手帳のようなものを取り出した。
「これは?」
「国際警察の特殊許可書よ。これを持ってれば、ニッポンの上層部は邪魔出来ないから」
「なるほどね。これがあれば、デスサイズ団相手に思う存分暴れまわれるって訳か」
「そう」
「ありがとうリラ。ハンサムさんにも言っといて」
「うん...後ね、デスサイズ団の上層部なんだけど、今は『ミスターS』って名乗ってる人物がボスを務めているみたいなの」
「『ミスターS』?」
「誰も詳しいことはわからなくって、男なのか女なのか、本名も素顔も全くわからない。フェリと関わったあの3人も知らないの一点張りでね」
リラは紙束の下の方の紙を数枚抜き取った。そこには『ミスターS』なる人物のことや他の幹事について記されている。