第22章 稲妻と波動
※こっからしばらく副声音となります。リッカイバトル部員達はただラクライが「ライライ」言ってるようにしか聞こえてません。
「ねぇラクライ、君はどうしてあの森にいたの?」
「ご主人様とボールで遊んでたら、俺迷子になっちゃって。それで探してたら彼処にいたんだ」
「身体の怪我は?」
「修行だよ!」
「修行?」
「うん!毎日ご主人様とバトルの修行してるんだ!全部修行で出来たんだよ!」
「手当てとかはしてくれなかったの?」
「うん。ご主人様、『ほっとけば治る』って言ってたし」
「...じゃぁ、人間達に囲まれてたのは?」
「『珍しいから捕まえろ』とか『生態系崩すな』って言って攻撃してきたから、やり返してたんだ!」
「............」
虐待されているという風にも聞こえるが、決定的な証言がない。おまけにこのラクライ自身、まだ善悪の区別もつかないくらいには幼いらしい。
思わずフェリシアは頭を抱えてしまった。
「フェリ、ラクライはなんて言ってるんだい?」
「...ご主人様と遊んでてはぐれたって。身体の傷は修行してたからって言ってる」
「これは...どっちなんだ?」
「出来れば、この子のトレーナーが見つかれば良いんだけど...」
「まずリッカイの人間かどうかもわからんしのぅ」
頭を悩ませる一同。
「あ!」
「どうした赤也?」
「空っぽのボール、当ててみればいいんじゃないっすか?」
「え?」
「だって逃がされてたらボールが反応するっしょ?」
「成る程ね...その手があったか」
「赤也にしてはやるのぅ...」
「ちょ、仁王先輩、『しては』ってなんすか『しては』って!」
早速試してみることにしたフェリシア。