第22章 稲妻と波動
そしてIN保健室。
「...これで大丈夫かな?」
「キュ~」(かな~)
ラクライの傷の手当てを素早く終わらせたフェリシアとキュワワー。キュワワーの右手(手?)に水色のリボンが巻かれているところを見ると、どうやらこのキュワワーもフェリシアのポケモンらしい。
「キュ~ワ、キュキュワ~」(フェリも早く手当てしないと~)
「あぁ、忘れてた。ティアラ、お願いね」
「キュ~」(全くも~)
ぷりぷりといった表現がしっくりくるような怒り方をするキュワワー、基ティアラは蔓の鞭を器用に使いフェリシアの治療を始めた。
「随分と手際がいいな」
「この子、一時期キュワワー看護学校に行ってたから、手当てとかは慣れてるのよ」
「キュワワーってことは、アローラでゲットしたの?」
「うん。アローラのジョーイさんから貰ったタマゴから孵ったの」
「へぇー」
「キュ~ワ」(はい、終わり)
あっという間にフェリシアの手当ては終わっていた。
「...で、」
幸村はベッドの上で眠り続けるラクライに目線を向けた。
「このラクライの処遇、どうしようか?」
「白波博士のとこで保護してもらうのが一番だろうが...」
「フェリ、このラクライ他に何か言ってた?」
「ううん」
ラクライの身体をそっと撫でるフェリシア。
「フェリ、このラクライは捨てられたポケモンだと思うか?」
「...今のとこ、白波研究所にも迷いポケの情報は何も来てないから、もしかしたら...」
保健室に沈黙がおりる。
その沈黙を破ったのは...
「ライ...?」(ここは...?)
ずっと寝ていたラクライだった。
「おはよう。身体は何ともない?」
優しく話しかけるフェリシア。
「ライ?」(貴女は?)
「私はフェリシアっていうの。こっちはパートナーのフィアンナ」
「ヒコヒーコ」(宜しくね)
案外怯えた表情のないラクライに、少しだけフェリシアは安心した。