第21章 氷の王国
(兎も角、Z技を放った後の反動でポプラが動けない今、跡部君がどう動くか...煙が晴れないと難しいかな...)
フェリシアが考えるうちに煙は晴れていく。
そして、フィールドには...
(やっぱり...)
フィールドにはお互い睨み合うポプラとラプラスが。
どうやらさっきのZ技をラプラスは耐えきったらしい。
(どうしよ...Z技は2回は使えないし、ポプラももう限界に近い...今もZ技の反動で動けないし...)
必死に作戦を考えてる最中だった。
ばったーーーーん!
「え?」
「ラ、ラプラス?!」
なんとラプラスが倒れたのだ。
どうやらさっきのZ技を耐えきったはいいが、限界だったようだ。
「ラ、ラプラス、戦闘不能!ドダイトスの勝ち!よって勝者、リッカイ学園フェリシア!」
慌ててコールする忍足。若干ポーカーフェイスが崩れている。
しかしその瞬間、沸き起こったのは歓声ではなく、罵声だった。
「跡部様が負けるなんて有り得ない!」
「あの女が何かインチキしたんだ!」
「あの技反則でしょ!」
「きっとあのドダイトスも改造されてるんだ!」
「跡部様と跡部様のラプラスに謝れ!」
「ヒョウテイから出てけ!」
「出てけ!出てけ!出てけ!出てけ!」
観客席のあちこちから起こる罵声に出てけコール。
ついにフェリシアがぶちギレそうになった瞬間だった。
「うるせぇぞお前ら!!!!」
先にキレたのは跡部だった。
「俺たちは正々堂々戦った。その結果にケチつけんのか?あーん?!」
跡部の右手はラプラスを労るように撫でている。
「先程こいつが使った技は公式でも使用が許可されている。嘘だと思うんなら自分で調べやがれ!このバトルの結果に異を唱えるな!これ以上、俺たちの、ヒョウテイの恥をさらすんじゃねぇ!それでも文句がある奴はここへ来い!あーん?!」
跡部の言葉に、誰も反論出来ず、しーんとなる観客席。
しかし、悔しいのか、納得行かないといった表情をする輩のほうが圧倒的に多かった。
「すまなかったな。うちのモンが」
跡部はラプラスをボールに戻すと、フェリシアの元へ近づいて来た。
「いいバトルだったぜ、ありがとな、フェリシア」
手を差し出す跡部。
「こちらこそ、ありがとう、跡部君」
フェリシアもその手を握り返した。