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蒼い月

第21章 氷の王国


「ラプラスを持ち上げろ!ハードプラント!」
「何?!」

ラプラスの真下の地面が盛り上がり、一気に巨大な植物が生える。そしてその勢いのままラプラスを空へ打ち上げた。

「うっわぁ~!マジマジスッゲェ~!カッコいいC~!」
「...ジロー、お前はどっちの味方なんや」

本来なら跡部を応援するべきなのだろうが、慈朗は純粋にバトルを楽しんでいるようだ。忍足も若干呆れている。

「(空中なら身動きが取れない)ポプラ、もう一度リーフストーム!」

無数の葉っぱが容赦なくラプラスへ向かって舞い上がる。

「10万ボルトで弾け!」

ラプラスから発生した電気が次々と葉っぱを砕いていく。

(...相変わらず、『魅せる』のが得意やな跡部は。いや、あのお姫さんも得意にしとんのか)

忍足はバトルの様子を淡々と分析していく。表情は全く変わっていない。

「ラプラス、そのままのし掛かれ!」
「ポプラ、ウッドハンマー!」

真上からの重力も手伝い、一見ラプラスが有利に思われたが、ポプラも持ち前の攻撃力で対抗する。
お互いがぶつかった衝撃が辺りに走る。
鍔迫合いが続くなか、先に動いたのは跡部だった。

「今だ!絶対零度!」
「?!」

絶対零度も一撃必殺の技の一つ。この至近距離ではかわすのは難しい。かと言って相殺も厳しいだろう。

「(一か八か)ポプラ、もう一度ハードプラント!」

絶対零度に対抗出来そうなハードプラントを指示したフェリシア。

(賭けに出たな、お姫さん...これで絶対零度が失敗すれば、あのドダイトスは跡部のラプラスよりレベルが高いっちゅーことになる...)

「行け!ラプラス!」
「ポプラ!出力最大!」

絶対零度とハードプラントがぶつかり合う。
そして...


ぱっきーーーーん!


砕け散った。
うっすらと緑色に輝くダイヤモンドダストが舞う中、お互いのポケモンは...?

「...あ!」

誰よりも先に気づいたのは慈朗。
慈朗の目線の先には、フィールドで対峙するラプラスとポプラが。つまり、絶対零度は失敗に終わったのだ。
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