• テキストサイズ

蒼い月

第21章 氷の王国


「...ほぅ」

跡部は感嘆の息を漏らした。ポプラは自分の周りにストーンエッジを発生させ、岩でハイドロポンプを防いだのだ。

「なら防げない攻撃をするまでだ!ラプラス、歌え!」

ラプラスの得意技とも言われる『歌う』。ドダイトスの腕が耳に届くわけがない。そう思っての判断だった。

「だったらポプラ、地団駄!」
「何?!」

指示通りに地団駄を踏み始めるポプラ。元々ドダイトスは重量級。ドッスンドッスンと辺りに地響きが起こり、ラプラスの歌声を消し去る。

「...あのお姫さんなかなかやなぁ」

忍足は一人ごちた。地団駄と言えば、自分の攻撃が失敗した後に使うと威力があがる技だが、どうやらさっきのストーンエッジは攻撃失敗と見なされているのかもしれない。
それだけの威力だったのだ。

「チッ、ラプラス、雨乞いだ!」

舌打ちする跡部は雨乞いを指示した。
あっという間にフィールドに雨が降り始める。

(氷タイプなら、雨乞いよりも霰を指示した方がいい気がするけど...それに、ポプラにとっても4倍ダメージだし...何故?)

「考えてる暇なんてねぇぞ、空に冷凍ビーム!」
「!?」

空に冷凍ビームが打ち上げられる。水色の光線が雨雲の中へと消えていったのも束の間、何か細く白いものがポプラ目掛けて降り注ぎ出した。

「(まずい)ポプラ、守る!」

白いものの正体は、凍った雨粒。
跡部は天然即席氷柱落としを完成させたのだ。

(霰じゃなくて雨乞いを指示したのはこの為...?)

次々とポプラに氷柱が降り注ぐ。しかし、守るはそれほど長く使えない。

「(流石に限界か)自分の周りにリーフストーム!」

これ以上は守るが使えないと判断したフェリシアは、リーフストームをポプラに纏わせた。巻き起こる無数の葉っぱが氷柱にぶつかり、小さく弾ける。
さながらコンテストのようだった。
しかし、最大のミスを犯していたことに、フェリシアは気づくのが遅れてしまう。

「余所見すんなよ、ラプラス!」
「嘘っ!?」

氷柱に気をとられ、ラプラスの動向をすっかり忘れていたフェリシア。
いつの間にか、ラプラスが波乗りで接近していたのだ。

「決めろラプラス、角ドリル!(角ドリルは当たれば一撃必殺、さぁ、どうする?蒼い月!)」

後数㎝で角ドリルがポプラに直撃する、その寸前だった。
/ 196ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp