第21章 氷の王国
「......売られたバトルは買うのが礼儀。そのバトル、受けてたつわ!」
些か覇気の戻ったフェリシアの答えに、跡部は口角をあげた。
「お互い、使用ポケモンは一体や」
審判役の忍足が告げる。
フィールドで対峙するフェリシアと跡部。慈朗はキラキラした目で観客席にいる。
「お前の美技で酔わせてやれ!ラプラス!」
「キュウゥ~ン!」
跡部が繰り出してきたのは乗り物ポケモンのラプラス。
かなりレベルが高いのか、辺りの気温が一気に下がった。
「ラプラスか...どうしよ...ん?」
思案するフェリシアだったが、腰につけたモンスターボールの一つがガタガタと凄い勢いで揺れているのに気づいた。
「...貴方にはかなり不利な相手よ。それでもやるの?」
ガタタッ
モンスターボールに問いかければ、そんなの愚問だと言わんばかりに揺れた。
「わかった。貴方の事、信じるよ...MyBestFriend、ポプラ!」
「ドッダアァァァァ!」
フェリシアが繰り出したのは、ドダイトスのポプラ。
首に水色のスカーフを巻き、右目に傷があるのが特徴である。
「すっげぇ~!カッコいいC~!」
慈朗のテンションも爆上げ。
そのときだった。
「......ィ...ティ...ゥティ、」
何かコールのようなものが聞こえてきた。
それは段々と大きくなっていく。
「...ヒョウテイ、ヒョウテイ、ヒョウテイ、ヒョウテイ...」
「...出たで、『ヒョウテイコール』」
忍足が呟いた。そして、
パチン
「勝つのは、俺様だ!」
跡部の指パッチンと共にコールは静まり、跡部の声が辺りに響き渡ると、とたんに沸き起こる喝采。
中には...
「キャー(≧▽≦)跡部様ー!」
「格好いいー!」
という女子の声援も。
「...リッカイよりも凄いね」
「ヒーコ...」(そーだね...)
若干呆れ顔のフェリシアとフィアンナ。
「んじゃ、バトル開始!」
謎のヒョウテイコールが終わると、忍足はバトル開始の宣言をした。
「こちらから行くぞ!ラプラス、ハイドロポンプ!」
強力な水圧がポプラに襲いかかる。
「壁を造れ!」
技を指示した訳ではない。しかしその意図をポプラは理解している。
...いや、これはフェリポケ全員に言えることだが。