第21章 氷の王国
――――生い立ちは...誰にも知られたくない――――
「カロスのプラターヌ博士の養女、その前h「やめてっ!」!」
「ヒッキャァァァァ!」(テンメェェェェ!)
続けようとした跡部に、フェリシアは悲痛な声で静止を求め、フィアンナは今まで聞いたことのない程の威嚇の声をあげた。
「お前...」
流石の跡部も黙った。
そのまま、フェリシアは崩れるようにその場にしゃがみこんでしまった。自分の身体を抱き締めるその両腕は、震えている。
「お姫さん、大丈夫かいな?」
忍足がフェリシアの肩に手を乗せようとした、が...
「ヒコッキャァァァァ!」(フェリシアにさわんなぁぁぁぁ!)
「熱っ!?」
傍らのフィアンナが触らせまいと火炎放射で牽制する。
「...ハァ......フィアンナ...ごめ、ハァ...だいじょぶ、だから...」
「ヒコヒコ...」(フェリシア...)
ハァハァと荒く息を吐くフェリシア。
その様子を、跡部達はただ見ていることしか出来なかった。
「...ごめんなさい、取り乱してしまって」
数分後、なんとかフェリシアは自力で立ち上がった。
「...これ、リッカイの部長から、跡部君にです」
「あ、あぁ...」
「では、私はこれで。失礼しました...変なとこ見せちゃってごめんなさい」
一礼し、立ち去ろうとしたフェリシア。しかし、
「待てよ」
声をかけたのは、跡部だった。
「俺様とバトルしねぇか?ミアレの蒼い月(ブルー・ムーン)さんよぉ」
「何で...」
ゆっくりとフェリシアは振り返った。その目には生気が無い。
「言っておくが、俺様はお前の生い立ちは詳しくは知らねぇ。プラターヌ博士に引き取られる前のことは、いくら探しても情報が出てこなかったからな」
「...跡部の肩持つようで悪いねんけど、これはホンマや。跡部財閥はホウエンのデボンコーポレーションと同じぐらいデカイんやから」
「...そう」
いくらかフェリシアの目に光が戻る。
「...すまなかったな」
「...ううん、私こそ、取り乱しちゃってごめんなさい」
「んで、バトルは受けるのか、受けねぇのか?」
跡部の問いに、フェリシアは答えた。