第21章 氷の王国
「私は構わないけど、みんなはいいの?」
「俺は賛成」
「賛成ぜよ」
「俺も賛成だな」
「私も賛成です」
「俺も賛成っす」
「...決まりだな」
誰一人として反対の声をあげなかったことに、3強は笑みを浮かべた。
「それじゃあフェリシア、頼んでもいいかな?」
「はい。至らないとこもあるかもしれませんが、よろしくお願いします!」
こうして、フェリシアはリッカイバトル部のマネージャーに就任したのだった。
「では早速だがフェリ、一つ仕事を頼みたい」
「なに?」
「この書類をヒョウテイ学園の部長に届けてもらいたい」
「ヒョウテイ学園?」
「北のヒョウテイシティにある学園だよ。ちょっと肌寒いんだ」
「ヒョウテイ学園はかなり広いが、バトルフィールドはすぐ見つかる。部長の名は跡部だ」
「えっと、ヒョウテイ学園の跡部って人に渡せば良いのね?」
「あぁ」
「わかった」
いざ、マネージャーとしての初仕事へ!
そして一時間後。
フェリシアとフィアンナはヒョウテイ学園の前にいた。
「おっきいね...」
「ヒコヒコ...」(そうだね...)
「リッカイより生徒数や施設の規模も大きいって蓮二君言ってたけど...ちょっと肌寒いね」
「ヒコ、ヒコヒーコ」(なんか納得)
お喋りしながら学内に入る一人と一匹。
「さて、バトルフィールドはどこかな~っとぉ?!」
「ヒキャッ?!」(何?!)
突然フェリシアが何かに躓いて転びかけた。
「危っぶな~もう何?!って、え...」
「ヒコ?」(人間?)
フェリシアが躓いたのは、なんとねっころがった男子。ヒョウテイ学園の男子生徒の制服ではなく、ジャージを着ている。
「え...?生きてる...?」
「ヒコヒコキャッ!」(縁起悪いこと言わないでよ!)
「お~い、生きてますか~?」
男子生徒を揺さぶりながら声をかけるフェリシア。
「ん~?あれ?君は?」
寝ぼけたような声をあげながら男子生徒は目を覚ました。
「あ、起きた。わたs「ああぁぁ!?」え、なに?!」
「君、あのときの!」
「ヒコ、ヒコヒコ...」(なんかデジャヴ...)
フェリシアを視界に入れた瞬間、寝ぼけ眼がぱっちりと開き、ついでにフェリシアの両手をがっしりと掴んだ男子生徒に、フィアンナの脳裏には某ラッキー少年の姿が浮かんだ。