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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第13章 誰が為に戦う




向深晴。
個性「ベクトル変換」
運動量、光、音、熱量、電気量などのあらゆる力の向きを観測し、演算を元にベクトルを変換できる能力。


『7.8加速、ベクトルa.n.kのみ修正、36.69加速、ベクトルj.p.uを467.2収縮加速……』


向はぶつぶつと演算を呟き、個性を使ってプラズマを肥大化させていく。
一瞬、個性の許容超過で目眩が引き起こされ、ふらついた向の左足の踵に、何かがぶつかった。


『……!』


視線を落とした先には、意識を手放した相澤の姿。
倒れ伏した彼の姿と、自身の足下まで流れてくる血潮を見て、向は一瞬、ゴーグルの中から眼を見開いた。


「向さん!!」


上半身だけ身体を再生させた脳無が、向の右足へと腕を伸ばした。
それを見た緑谷が向の名前を叫び、飛び出した。


「脳無!!」


という死柄木の声と


「緑谷ちゃん、ダメよ!!」


という蛙吹の声。そして












『………消太にぃ………?』










と、唇を震わせた向の声が、同時に緑谷の耳に届いた。
その直後。
広場まで届く破壊音を立てて、USJの扉が何者かによって外側から弾き飛ばされた。


「……もう、大丈夫」


いつもとは違う、笑みを浮かべることのない彼のその表情。
硬く噛み締められた口は、確かに、遅れて来たヒーローの到着を告げた。


「ーーー私が、来た!!!」


階段上に現れた、ヴィラン襲来のターゲット。
苦々しげに下層を見下ろす平和の象徴を見上げながら、死柄木はゆっくりと、自分の首に爪を立てた。


「……あーーーー……」


長い長い、ため息混じりの呟きの後。
死柄木は、告げた。











コンティニューだ、と








ただ一言








楽しそうに







嬉しそうに










そして








心の底から嫌そうに










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