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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第11章 嵐の前の騒々しさ




それから数分後、バスはようやく目的地へと辿り着いた。
相澤の先導に従い、1-Aの生徒たちがドーム状の建物へと足を踏み入れる。
その建物の入り口からは、階段を降りた先にあるいくつもの災害現場を再現したゾーンが見下ろせる。
壮観な眺めに目を輝かせながら、誰かが「USJかよ!!?」というコメントをした。


「あらゆる事故や、災害を想定し、僕がつくった演習場です。その名も…」


Uウソの
S災害や
J事故ルーム!!


と演習場の正式名称を生徒たちに紹介しながら姿を現したのは、全身宇宙服のようなヒーローコスチュームを見にまとったスペースヒーロー、13号だった。


(((USJだった!!)))


著作権的にそれは良いのかと問い詰めたい気持ちをグッとこらえ、生徒たちは間近で見る人気ヒーローの登場に胸を躍らせた。


「スペースヒーロー、13号だ!!災害救助でめざましい活躍をしている紳士的なヒーロー!!」
「わー!私好きなの13号ー!」


キャッキャと騒ぐ緑谷と麗日。
ざわついたままの生徒たちを放っておきながら、相澤と13号は静かに言葉を交わす。


(……?)


その様子を眺めていた向は首を傾げ、腕を組む。


「…仕方ない、始めるか」


教師同士の話を切り上げ、授業開始を告げた相澤に、生徒たちは身体を向き直して静まり返った。
始める前に、と13号が指折り数えながら、「お小言を一つ二つ…三つ…四つ…」と呟くように前置きし、話し始めた。


「皆さんご存知だとは思いますが、僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」


その言葉を言い終わるや否や、まだ興奮冷めやらないといった様子の緑谷が声を発した。


「その個性で、どんな災害からも人を救い上げるんですよね!」


13号は顔の見えないヘルメットの中からじっと緑谷を見つめ、「えぇ…」とあまり一概には褒め言葉を喜べない、といった様子で言葉を続けた。


「…しかし、簡単に人を殺せる力です。皆の中にも、そういう個性がいるでしょう」


そして、13号はそこで、少しだけ首の向きを変え、向を見た。
目が合っているのかどうかもわからない状況。
向は、すぐに視線を左下にそらす。
それを見ていた飯田は、はて、と首を傾げた。








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