第91章 風向きが変わったら
キミが、ずっと。
選ばれるために、努力していることを知っている。
オールマイトが出久にだけ声をかけるたび。
キミはいつも少しだけ。
悲しそうな顔をする。
「ざけんな!!!!」
キミが、ずっと。
私に選ばれたくて、ずっと一緒に居たのを知っている。
私がつれなく言葉を返すたび。
キミはいつも少しだけ。
傷ついたような顔をする。
「おまえは俺と、帰んだよ!!!!」
裏返った勝己の恫喝を聞いて。
ーーー向少女、伝言だよ
頭の中にふと。
作戦開始直前、オールマイトが告げてきた言葉が思い浮かんだ。
「ちゃんと、帰ってこい。ってさ」
誰の言葉を、彼が借りてきたのかは。
聞かなくともすぐにわかった。
夢のような日々だった。
ーーー向、俺はおまえを救いたい
本当は、嬉しかった。
誰にも信じてもらえずに。
見て見ぬ振りをされ続けていた人生で。
救いたい、と言ってくれる友達に出会った。
ーーー君の帰りを待つ人は必ずいる!!君の帰る家はある!!
嬉しかったんだ。
帰る場所がないと、思い込もうとして。
復讐だけに身を費やそうとしていた私を、呼び止めてくれる友達が出来た。
ーーーじゃあ今日、体育祭終わったらマック行くか!
友達と、マックで談笑してみたい。
そんな途方も無い願いがある日突然叶った。
嬉しくて嬉しくて。
ーーー僕も一緒に戦うから
復讐を忘れそうになった。
それでも立ち向かいたくて。
戦い続けなきゃ、私は私じゃいられないから、と。
そんな私の気持ちを理解して、一緒に戦うと言ってくれた友達がいた。
ーーー俺を、選べ!!!!!
本当に、夢みたいだ。
私に怪我をさせてでも。
怒鳴り散らしてでも。
私を、この日々に。
繋ぎ止めてくれる友達がいる。
「振り払え!!!!」
ごめん
「ちゃんと、帰ってこい」
ごめんなさい
私
どうしても