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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第91章 風向きが変わったら




「なァ…友達、だろ」


だって、そうじゃなきゃ。
この関係をなんて呼ぶ?


「友達、なんだろ」


おまえとの関係に名前がないなんて。
そんなの虚しすぎるじゃないか。
不安にならないわけなくないか?
嫉妬しないわけなくないか?
腕の二本や顔面の骨ぐらい大目に見ろよ。
腹いせに、八つ当たりぐらいさせてくれ。


「友達、なんだろ…なァ!?俺と出逢えて良かったって言ったろ…泣くほど嬉しかったんだろ…!?なァ、深晴!!!」












わかってる














「…なのに…!…なんで…!」














本当は、わかってる


























先生への復讐に取り憑かれてたはずのおまえが、今やオールマイトに全てを任せてる。
あれだけ殺すだなんだと決意していたのに。
まるで先生なんて、どうでもいいと言うように。
おまえは目の前の爆豪を助け出すのに必死だ。
本当に先生への憎悪や復讐心が消えたわけじゃないんだろう。
けど、おまえはそういう奴だ。
自分は優しい人間じゃないと言いながら。
結局、自分より他人を優先してしまう。
悪いことを企てたところで、最後の最後。
悪者にはなりきれない。





『…ごめん…』
「……いやだ」
『ごめん……弔と』
「いやだ…」
『…一緒には行けない』
「嫌だ…!」
『…………弔、私』






















『帰りたい』























俺は。
息がうまく出来なくなった。
バン、と大きな音がして。
自分の右の鼓膜が破れる音を聞いた。
遠い耳鳴りと、激痛に右耳を押さえ、大きく左に転がってさらなる追撃を回避した。
容赦のない爆撃を仕掛けてきた爆豪は、鬼神のような顔をして、横たわる深晴の側に立っている。
威嚇してくるその番犬の姿が癪に触って、俺が飛び出した直後。
残っていたビルの残骸が吹き飛ぶ音が聴こえた。
俺は左の鼓膜だけを頼りに振り返り、崩れた壁の向こう側。
氷のジャンプ台が形成されたのを目の当たりにした。
その上をよく知るクソガキどもが滑走し、俺たちの頭上高く飛び上がった。
戦っていた誰もが空を見上げて。
乱入者どもの声を聞いた。










「来い!!!!!」










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