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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第91章 風向きが変わったら




誰も、信じてくれなくたっていいんだ。
おまえは確かに俺を見つめて。
キミと出逢えてよかった、と囁いた。
夜が更けて俺が「また明日」、と背を向ければ。
『…また明日』と答えはしても、名残惜しそうに。
俺を引き止めようと向かい風を起こした。


「……またか」
『……なんのこと?』
「…帰ってほしくないならそう言え」
『そんなこと言ってない』
「態度に出てる」
『出してない』
「……かっわいくな…」


俺はその風が鬱陶しくて。
おまえの隣にまた腰掛けた。
せっかく呼び止めるための名前を教えてやっても、おまえのその癖はいつまで経っても変わらなかった。
いつまで経っても。
おまえは俺と過ごす時間の終わりを惜しがった。
いつまで経っても、俺は。
おまえに後ろ髪を引かれると、振り向かずにはいられなかった。

















「友達の相談くらい、耳を貸せ」


おまえと出会って一年後。
おまえが、もう俺と会えないなんて言うから。
慌てて俺たちの関係に名前をつけた。


『……友達』
「……うん」


そうでもしないと、本当にさよならだと思った。


『…本当に?友達になってくれるの?』
「……バカ、繰り返すな。…そうだよ」
『…………』


だって、まだ。
おまえに指一本すら触れてない。


「…友達だろ」


だって、まだ。
おまえに伝えたいことがあるんだ。


『………ありがとう……』
「……やめろ、鬱陶しい」


友達が一人出来たくらいで。
おまえはポロポロと泣き出した。
涙を拭ってやろうとしたけど。
やっぱり怖くて触れられなかった。
泣くほど嫌か、とからかって聞けば。
泣くほど嬉しい、と返してきたから。
至極、不本意だったけど。
おまえと友達でもいいかと思った。
おまえと友達になって良かったと思った。
でもいつか、必ず。
伝えようと思ってた。



















本当は、おまえの





































<初めて、好きな人が出来たんだ>






















その時、思った。












「………ふーん……」

















あぁ、おまえと




















友達になんかならなきゃよかった









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