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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第91章 風向きが変わったら







「戦え!!!!」




私の原点。
それは、あの日。
どんな不幸に見舞われようとも。
誰かを傷つけてはいけないと、踏みとどまった自分がいたこと。
燃え盛る炎に、度重なる爆発。
鼓膜が破れて、爆風に吹き飛ばされて。
死ぬかと思った。
それでも。
傷ついた人を個性で助け続けた自分がいた。
母親に置き去りにされて。
他人の心配なんてしてる場合じゃなかった。
そんな時でさえ。
泣きながら、災厄と戦い続けた自分がいた。







絶対に勝ってやると思った









こんな、理不尽には絶対に










絶対に、負けたくないと思った







(……そうだ。私は、あの日)





変わりようがない私の本質。
誰が褒めてくれなくても。
誰もあの空港に、私を迎えにきてくれなくても。
人を助けたせいで、トラウマを抱えることになったとしても。
命を賭して助けた人が、次々息絶えていったとしても。
私は誰かを理不尽に傷つけたりなんかしなかった。
私には出来なかった。











「立て!!!!」











これはさすがにキモチわるいから





キミには言えないままだけど












ーーー向さ、なんで爆豪と一緒にいんの?












それは








一目惚れしたからだ












オールマイトが戦えないと知ってから、心のどこかであの男と戦うことを諦めていた私の前に、キミは現れた。
爆破の個性に、勝利への執着心。
私はそのどちらにも、自分の原点を重ねていた。
キミが戦う姿に、惚れ込んだ。
キミが激しい爆発音を立てる度。
私は身体が震えるのと同時。
忘れそうになっていた戦う気力を呼び起こされた。
キミが「勝つ」と言葉にする度。
負けるわけにはいかないと、あの男への闘争心を呼び起こされた。









「ーーー深晴ッ、戦え!!!」









復讐心の再燃役かと知ったなら。
キミはきっと散々私を罵ったあと。
ひどく悲しい顔をするだろう。
それでも、私はキミに出会えて。
戦おうと思えたんだ。
立ち向かおうと思えるんだ。

















『……もう、大丈夫』














だって、隣に










キミがいる





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