第90章 友さえ罵れ
「君が過去に暴いた弱点を参考にしたよ」
「………あ?」
目の前でトントン拍子に進んでいくヒーロー達の捕縛劇。
呆然とその一部始終を眺めていた爆豪に、黒霧を個性で貫き、気絶させたプロヒーローエッジショットが声をかけた。
「あー……」
「ムッ、大丈夫か爆豪少年!まだ気を抜くのは早い、遠足は家に帰るまでが遠足だからな!」
「遠足気分じゃ困るだろう、オールマイト」
エッジショットのツッコミに、オールマイトが「HAHAHA!!」と笑って反応を返す。
「引石健磁、迫圧紘、伊口秀一、渡我被身子、分倍河原仁…少ない情報と時間の中おまわりさんが夜なべして素姓をつきとめたそうだ。わかるかね?」
もう逃げ場ァねえってことよ、と言葉を続けたグラントリノの声に被せて、死柄木が問いかけた。
「…場所は?どうしてわかった?深晴、おまえが伝えたのか?」
「向少女、私が答える。死柄木弔、君はツメが甘いんだ。超人社会とはいえ、奇抜な身なりや容姿をしていれば人々の目に止まる。地道な聞き込みを続け、ここを突き止めたのはおまわりさんだよ。彼女を今回の作戦に加えたのは、爆豪少年が「ここ」にいるという裏を取るためだ」
「そんなことのために資格未取得者を呼んで来たってのか!?」
トゥワイスがジタバタと暴れながら「あったま悪いぜ、名案だな!」とオールマイトに異議を唱えた。
その仲間の声に死柄木は賛同することなく、苦々しげにオールマイトだけを睨み続ける。
「…彼女は資格未取得者とは少し違う。詳しい話は警察署で話してもらおう!」
「……ふざけるな……こんな…」
こんな、あっけなく
ーーー誰も…たすけてくれなかったね
ーーー君は悪くない
「…ふざけるな…」
ーーー友達か、それは良い
「…失せろ…消えろ…!」
ーーー大切にするんだよ、弔
「奴は今どこにいる、死柄木!!」
いつか
「ーーーいつか」
「裏切られる、その日まで」