第89章 身から出た錆
私はずっと変わらず、愚かで浅はかな人間のままだ。
口は災いの元なんて、身を以て知っていたはずなのにまた余計なことを口にした。
「…おいおい…!なんだおまえ、遅れて助けに来てその格好…イレイザーヘッドに似てるじゃないか?」
(……似せたんだから当たり前)
USJで、久しぶりに顔を合わせた友人は、すっかりヴィランらしい狂気じみた笑みを浮かべるようになっていた。
ほんの、数ヶ月。
会わなかっただけで、これほど人相が変わるものか?
まさか、わざわざこのクラスへの襲撃を選んだのは。
私が余計なことを口にしたせいか?
混乱しながらも、脳無へ立ち向かっていく出久の姿を見て、決めた。
(……ひとまず、戦わないと)
立ち上がってくると思っていた担任が、立ち上がってこなかった。
嫌な予感がして足下を見ると、そこには鮮血が広がっていた。
『…消太にぃ…?』
五月雨が降りしきる夜。
USJから、ずっと無視し続けていた彼に返信を返した。
「…雨の日にしか会えないって…俺はおまえの浮気相手か何かか?…あんまりじゃないか」
どうして、あんなことをしたのかを聞けば。
ちょっと、ムカついたからと、彼は返事を返した。
『……ふざけないで』
「まぁ待てよ、仲直りしよう…おまえを助けたあのうざいガキとは、ちゃんと仲直りしてやったみたいじゃないか」
『…ホームに私を突き落としたのも弔なの?…どうして』
「誰がおまえを殺そうとしたかは問題じゃない。でもさ、殺されたって当然だろ?おまえは本当なら、俺にとっくに殺されてるはずなんだから…問題は、どうしておまえが俺を遠ざけるのかってことだ…」
『…わからないの?』
「わかりたくもない」
傘を差し出し、彼との会話を遮った。
『傘、持ってきただけだから。真面目に私の話を聞く気がないなら、もうキミとは会わない』
「…イラつくな…傘を持ってきただけ…?本当にそうなら…おまえが帰れないようにその足、壊してやろうか?」
面と向かって、話してわかった。
私の知っている彼じゃない。
話し方も、使う言葉も、笑い方も何もかもが違っている。
(…あぁ、そうか…)
初めからわかってたことだ
彼は、ヴィラン
それだけのこと