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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第2章 あっち向いてホイが得意な人




「んでそんな没個性のヤツが雄英にいんだよ?とっとと失せろやモブ」


初対面の人間に対して、常識的な人間であれば絶対に口にすることのないであろう罵倒の言葉を浴びせる爆豪。
朗らかに話していた緑谷たちのところまでその罵声は届き、あまりの言い様に、緑谷が湧き上がってきた怒りを抑えきれず、爆豪の方へと近寄って行った。


『…………ぶっは!』
「………?」


突如響いた笑い声。
その声の主は、つい今しがた爆豪に罵倒された向本人のものだった。


『あはははは、この教室で一番モブみたいな態度のヤツが何言ってんの?』
「………あ?」
『笑わせるのやめてよ。モブっぽいヤツがモブっぽいセリフ言うのなんて見てて面白すぎる』
「…………………………あァん?」


爆豪の額に、徐々に青筋が浮き上がっていく。
恐らくだが、そのうち一本が音を立ててブチ切れたのではないだろうか。
ブチィッ!!という琴線が切れるような音の後、右の掌を爆発させた爆豪が向をものすごい剣幕で睨みつけた。


「おいコラクソ女!もういっぺん言ってみろや!!」
『どれを?聞けば聞くほどモブっぽいなぁ』
「っ……この…テメェ、ブッ殺す!」
『嫌だよ、まだ1年は生きたい』
「とっとと死ね、今すぐ死ね!!」
『えぇーそれってどうなの?入学早々隣の座席が花瓶の置き場所ってきっと過ごしづらいと思うよ?』
「黙れやクソ女!!!」
『……………………………………』
「黙ってんじゃねぇよ!!!」
『いや寂しがりか』
「あァ!?」


律儀に真顔で爆豪との言い合いを続ける向。
爆豪をいさめようと近づいてきた緑谷だったが、ペラペラと言葉を返す向にあっけにとられ、出る幕を見失ってしまった。


「テメェの個性が雑魚じゃねぇっつーなら証明しろや!!」
『いいよ、あっち向いてホイ何回勝負にしようか!』
「テメェの耳はただのお飾りか、それが雑魚だっつってんだ!」
『あっ、もしかして勝てないと思ってる?』
「挑発に乗るかバカが!んな間抜けな個性で雑魚じゃねぇとかほざいてんじゃねぇよ!!」
『それはあっち向いてホイを考えた人に謝りなよ!』
「謝んねーよ、寧ろテメェが俺に謝れや!!」
『見た目で判断してごめんなさい』




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