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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第86章 終わりと始まり




「なぜヒーローが責められてる?奴らは少ーし対応がズレてただけだ!守るのが仕事だから?誰にだってミスの一つや二つある!「おまえらは完璧でいろ」って!?」


現代ヒーローってのは堅っ苦しいなァ、爆豪くんよ!
至極、ゲームをしていた時と変わらない楽しげな声で死柄木は語り、爆豪に向かって大仰に両手を広げた。


「守るという行為に対価が発生した時点で、ヒーローはヒーローでなくなった。これがステインのご教示!!」
「人の命を金や自己顕示に変換する異様…それをルールでギチギチと守る社会…敗北者を励ますどころか、責め立てる国民…」


俺たちの戦いは「問い」だ。
死柄木はそう定義づけして、さらに説明を加えた。


「ヒーローとは正義とは何か。この社会が本当に正しいのか一人一人に考えてもらう!俺たちは勝つつもりだ」


君も、勝つのは好きだろ。
そう囁いた死柄木の声に被せるように、バーの扉がノックされた。
コン……コンコンコン……コン。
そのリズミカルなノックの音を聞き、目を見開いた敵連合のメンバーが一斉に死柄木を見た。


「……ようやく来たか…トゥワイス、開けてやれ」
「ハァ!?俺が!?やだよ!」


まだ、仲間がいンのか。
ふざけ倒している死柄木達を睨みつけながら、ずっと逃走方法を考え続けていた爆豪は、わずかに歯ぎしりをした。
任せろ!と先ほどとは打って変わった二つ返事を返したトゥワイスがバーの扉を勢い良く開け、訪問者に「ワォ!!」と驚いた。
入り口に背を向けている爆豪からは、その仲間の顔が確認できない。


(………?)


一瞬。
手に覆われてほぼ表情がうかがえない死柄木の目が輝いた。
荼毘が「悪いな、怪我させて」と、彼女に謝り、謝られた本人はフリフリと首を横に振って答えを返した。
聞いたことのある足音が爆豪の方へと近づいてきて、そのまま彼の横を通り過ぎた。


「……………………は?」


訳がわからない。
どうしてここに彼女がいる?
自分は彼女を逃したはずだ。
なのになぜ、自分からまた。


「……何してやがんだ、テメェ」


爆豪の言葉を聞き、彼女は振り返った。
そして、親しげに死柄木の隣の席へと腰掛けた向は、見惚れてしまうほどの艶やかな微笑みを浮かべて、答えた。














『何って?友達に会いに』












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