• テキストサイズ

風向きが変わったら【ヒロアカ】

第86章 終わりと始まり




(……こいつら、何してんだ)


敵連合によって爆豪が合宿先から連れてこられたのは、彼の本拠地とも呼べるアジトだった。
爆豪は度々、Mr.コンプレスの拘束を解かれて椅子の上に呼び戻されては、敵連合に入らないか、という勧誘を受け続けている。
ウンともスンとも言わない爆豪に痺れを切らし、暴力的な手段に出るかと思われていた矢先。
イカレJK代表のトガが発案した。


「あっ!良いこと思いついた!!敵連合、楽しいよってアピールが必要です!そうだよね勝己くん!?」


んな馬鹿な話があるか。
そう却下されて当然だと思っていた爆豪の呆れた感想とは正反対に、死柄木は一言言葉を発した。


「採用」
「!?」


それからというもの、やたら牢獄代わりの球体から呼び出されては「楽しいから君もおいでよ、敵連合!!」的な日常風景を見せつけられ、一方的なアピールを続けられている。
まさか、敵が思いもよらない正攻法なアピールをしてきたことに爆豪はペースを乱され、「はよ諦めろ」とも言い難いような状況に立たされていた。


「…で?…俺たちの仲間になりたくなったか…?」
「なるわけねぇだろ、ふざけんのも大概にしろよブッ殺すぞ」
「あらやだん、その子私たちなんかよりよっぽどヴィランっぽいじゃなぁい!」
「カリスマっぽい感じするよな…」
「ハァン!?冗談だろ荼毘!!一生ついていきます!!」
「ついてくんなブッ殺すわ黙れやクソカス話しかけんな」
「優しッ!?口の利き方に気をつけな、俺らは一応おまえを攫ってきたんだからな!!」
「…やっぱ、建前じゃなびかないか…丁度いいタイミングだしな、作戦を変えよう」


死柄木は人差し指だけを使ってリモコンを引き寄せ、ディスプレイをゲーム用チャンネルから、普通の民放放送へとチャンネルを切り替えた。
そこに映っていたのは、ニュース番組でひどく取り上げられている雄英の記者会見。
1年ヒーロー科の担任達と、根津校長の発言を聞き、会見に参加している記者達はまるで彼らを叱責するかのような鋭い言葉を選んで質問を投げかけていく。
槍玉に挙げられているプロヒーロー達の姿を見て、ハッと死柄木は乾いた笑いを浮かべた。


/ 768ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp