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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第86章 終わりと始まり





ーーー事件発生まであと3時間


「八百万、考えさせてくれっつってくれたけど……どうだろな…」
「まァ…いくら逸っても結局あいつ次第…」


病院の出入り口の外で切島と轟が待っていると、灯りがついている病院のエントランスから八百万が出てきた。
そして、彼女の背後にはギプスを外した緑谷が。


「八百万、答え…」
「私は」


そう八百万が口にした言葉に被せて、切島と轟の背後に現れた一人の生徒が声を発した。


「待て」
「…飯田…!」


飯田の視界の左から轟、緑谷、八百万、切島と並んでいる四人の顔ぶれを見て、飯田は苦悶の表情で言葉を振り絞った。
何でよりにもよって、君たちなんだ、と。


「俺の私的暴走をとがめてくれた…共に特赦を受けたハズの君たち二人が…っ!!!何で俺と同じ過ちを犯そうとしている!?あんまりじゃないか!」


未だ、生徒は雄英の保護下にいる。
ただでさえ学校の信用問題が持ち上がっているこの時に、行動を起こすべきではない。
そう俯いて正論を述べてくる飯田に、緑谷が弁明しようと近寄った。


「飯田くん違うんだよ、僕らだってルールを破っていいなんて…!」


その緑谷の左頬を、飯田は思いっきり殴りつけた。


「俺だって悔しいさ!!心配さ!!当然だ、俺は学級委員長だ!クラスメイトを心配するんだ、爆豪くんだけじゃない!!君や向くんの怪我を見て、床に伏せる兄の姿を重ねた!!」


君たちが暴走した挙句、兄のように取り返しのつかない事態になったら。


「僕の心配は、どうでもいいっていうのか!!!」


(………違う、違うよ)


「僕の気持ちは…どうでもいいっていうのか…!」











あぁ、また。
まただ。









ーーーキミを大切に想う人の心が軋もうが、夢の為なら…そんなことは、どうだっていいの?













また、友達に同じような苦言を呈された。
違う、と言いたくとも。
正直、緑谷自身にもわからなくなっていた。


「飯田、俺たちだって何も正面きってカチ込む気なんざねえよ。戦闘無しで助け出す」
「ようは隠密活動!!それが俺ら卵のできる…ルールにギリ触れねえ戦い方だろ」


現実的ではない。
そのことに切島も、轟ですら気づいていない。
二人の言葉からその現状を再認識し、八百万が決意を固めた。

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