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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第83章 モか




狂気じみた笑みを浮かべるトガを障子が突き飛ばす。
荼毘の炎撃直前、まるで手品のように姿を消していたMr.コンプレスが再び同じ地点にパッと現れた。
背後で始まった混戦に見向きもせず、彼は荼毘の元へと向かっていきながら、呆れた声を出した。


「いってて…とんで追ってくるとは!発想がトんでる」
「爆豪は?」
「もちろん」
「深晴!!!」


右ポケットにMr.コンプレスが手を入れた瞬間。


「……おや?」
「そいつを、返せ!!!!」


轟がトゥワイスに背を向けてまで、無理やり氷壁で二人を凍てつかせようと冷気を発した。
荼毘がMr.コンプレスに向を渡し、ドッ!と左手の炎で氷結攻撃を受け止める。
互いの「個性」が衝突し、蒸気が視界を狭めた一瞬。
殺気を孕んだ轟の視線を受けて、荼毘はひどく愉快そうに笑った。
背後からトゥワイスの飛び膝蹴りをモロに受け、轟が前のめりに体勢を崩した直後、追い討ちのように荼毘の炎が彼の目の前へと迫る。


「轟!冷静になれ!!」
「…っ障子…!?」


炎と轟の間の防壁となるように障子が飛び込んで、轟を庇った。
苦痛に歪む友人の顔を見て、轟はようやく我に帰った。


「あとは、あそこにいる向だけだ!必ず隙ができる、そこを狙え!」
「……?何言ってる、爆豪と常闇はまだ…」
「さっきの行為でハッキリした…!「個性」はわからんが、ここへ飛んで来る前、おまえが俺たちに見せびらかした……右ポケットに入っていた「これ」が、常闇・爆豪だな、エンターテイナー」


六本ある障子の腕の指先。
そこには、ビー玉サイズの二つの球が掲げられていた。
推測の域は出ないが、恐らくMr.コンプレスの「個性」は、瞬時に小さな球体へと物質を圧縮し、閉じ込める個性。


「ホホウ!あの短時間でよく…!」


苦し紛れか、右ポケットの中を探るのをやめ、感嘆の声をあげてみせるMr.コンプレスの反応を見て、緑谷と轟が「障子くん!!」「っし、でかした!!」と声をあげた直後。
コンプレスは向に触れ、個性の種明かしをするかのごとく、彼女の姿をパッと消してみせた。


「「「ーーーーッ…!!」」」
「ブラボー、ヒーロー候補生。けど、それがどうした?」


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