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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第83章 モか




「イカレ野郎、死にたくないならいい加減にしておけよ」
「死にたくないのでいい加減にしておきます」


トガがパッと後ろ手に機械針を隠し、ずいっと顔を出して向の寝顔を覗き込む。


「ほんっと…カァイイ向さん!!弔くん喜ぶよね!!!」
「最近しょぼくれてるからな!布団に包まってシクシクシクシク、さぞ楽しそうだぜ死柄木のやつ」
「うるせえな、黙って…」


待ってろ。


そう言おうとした荼毘が、背後から迫ってくる何者かの殺気と気配に気づいた。
即座に彼が振り返った瞬間。
ズドォン!!!という落下音を響かせて、三人の雄英生徒と、彼らにのしかかられたせいで受け身が取れず、うつ伏せ状態になったままのMr.コンプレスが降ってきた。







作戦終了間際。
土壇場で不測の事態に陥っている。







彼ら四人の派手な登場により、そんな事実がまざまざと突きつけられているというのに、ヴィラン達は一切動揺することなく。
荼毘はニヤつき、トガは嬉しそうに笑い、トゥワイスは自慢げに言った。


「知ってるぜ、このガキ共!!!」


そして、まるで一人二役を演じるように、言葉を続けた。


「誰だ!?」
「…Mr.?避けろ」
「!」


ラジャ!とMr.コンプレスが仮面の下から声を発し、反応を見せた瞬間。
未だに向を右腕に抱いたままの荼毘は、躊躇いなく四人に向かって左腕を向け、青い炎撃を放った。
Mr.コンプレスの真上に乗っかっていた緑谷がまともに炎を喰らい、障子の手先を炎が掠めた。
唯一、轟だけが寸前のところで攻撃を躱し切ったのを見て、トゥワイスが手首につけたメジャーを伸ばしながら、轟のもとへと飛び込んでいく。


「死柄木の殺せリストにあった顔だ!そこの地味ボロ君とおまえ!なかったけどな!」
「チッ…!」


背後に回ってきたトゥワイスを牽制しようと、轟が右半身から冷気を放ち、彼を退ける。
熱っつ!と本心とは反対の感想を述べながらトゥワイスが飛び退いた直後、トガが一目散に緑谷へと駆け寄り、背中から倒れ込んだ緑谷にのしかかった。
吸血機を振りかぶり、彼女はドキドキとする心音を心地よく感じながら、興奮したように叫んだ。


「トガです、出久くん!さっき思ったんですけどもっと血出てたほうがもっとカッコイイよ出久くん!!」
「はあ!?」

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