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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第79章 襲撃者のターゲット




(ピンポイントで敵がいるなんて…!くそっ今のでケータイ壊れた!)


皆どころか、向にすら場所を知らせずに来てしまった。
ヒーロー殺しの時のように増援は望めない。


(…一人だ…僕一人…!一人で何とか、この敵を!!洸汰くんを守りつつ、やれるかどうかーーー)


ふと、振り返った緑谷の視界に。
「殺される」という恐ろしさを感じ取ったのか、大粒の涙を流し続ける洸汰の顔が映った。


(ーーーじゃない!!)


可能だろうが不可能だろうが。
そんなことは今関係ない。
助けを求めている人がいる。
それだけで、戦うには十分。









正直、怖くないかといえば嘘になる。
殴られただけであの威力だ。
まだ身体が痛みに悲鳴をあげている。
この敵は強い、そんなのわかってる。







(ーーーそれでも…やるしかないんだ、今!!)








「だいっ…大丈夫だよ、洸汰くん…」


少し上ずった声を発して。
緑谷は、ヒーローに憧れ続けた自分の原点である、彼の言葉を頭の中で反芻した。






ーーー怖い時、不安な時こそ笑っちまって臨むんだ






(僕、一人で…!)












最悪なタイミングで出くわしたヴィランを前に、緑谷は無理やり笑い、その眼に闘志を宿らせた。












「必ず、助けるから」











「たすける…って?はぁははは…」


さすがは、ヒーロー志望。
洸汰を庇うように背の後ろに隠し、戦う意志を見せて来た緑谷を見下して、敵の男は楽しげに笑った。


「緑谷ってやつだろおまえ?ちょうどいいよ、おまえは率先して殺しとけってお達しだ」


じっくりいたぶってやっから、血を見せろ!!!
男は凄まじいスピードで距離を詰め、ガードしようとした緑谷の左腕をそのままぶん殴り、彼をむき出しになった崖に叩きつけた。


「あ、いけね」


そんな威力の右フックを放っておきながら、平然と会話し続ける男はまた一歩踏み込み、緑谷の懐へと飛び込んできた。


「知ってたら教えてくれよ」













「爆豪と、向ってガキはどこにいる?一応仕事はしなくちゃあ…」












敵の口から出た友達二人の名前に、緑谷が目を見開いた瞬間。
容赦のない男の一撃が緑谷めがけて振り下ろされた。

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