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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第78章 日陰者のシンパシー




(向さん、本当に怖いのダメなんだな…)


耳郎と慰めあっている向を見て、緑谷がそんなことを考えた直後。
ピクシーボブが肝試しのルール説明を始めた。


「はい!というわけで脅かす側先攻はB組!もうスタンバッてもらってます!A組は二人一組で3分置きに出発。ルートの真ん中に名前を書いたお札があるから、それを持って帰ること!脅かす側は直接接触禁止で、個性を使った脅かしネタを披露してくるよ」


創意工夫でより多くの人数を失禁させたクラスが勝者だ!!と焚き付けてくる虎に、「やめて下さい汚い!」と耳郎が呆れる。
そんな彼女の声に隠れて、峰田が「合法的セクハラは無理か…」と呟いたのを蛙吹が聞き漏らさず、ドッ!と後頭部を舌でど突いた。
厳正なるくじ引きで決まった肝試しのペアは、こうなった。





1組目常闇・障子
2組目爆豪・轟
3組目耳郎・葉隠
4組目八百万・青山
5組目麗日・蛙吹
6組目尾白・峰田
7組目飯田・口田
8組目緑谷・向





(…こうなってくると、もちろんそうなるよな…!)


と緑谷が危険を察知した通り、ペア決め結果を知るや否や、2番目のくじを引いた爆豪と轟が足早に近づいてきた。


「代われやデク!!!」
「緑谷」
「本当二人とも揺るぎないね!?い、いやだよ!」
「うるせェテメェの意見なんざ聞いてねんだよ寄越せっつったら寄越せ、テメェのもんは俺のもん俺のもんは俺のもんだ!!」
「爆豪くんやめたまえ!完全に口調がジャイアンになっているじゃないか!!」
「緑谷」
「っ!?」


まるでどう猛な大型犬のように吠えてくる爆豪とは打って変わって、轟は小型犬のような眼差しで訴えてくる。
そんな彼から緑谷が全力で顔を背け、首を横に振って二人の要求を拒絶した。


「おい轟、何テメェまで代われとかほざいてんだ!?こっちから願い下げだわ!!」
「緑谷」
「二人とも、緑谷くんから搾取しようとするのを今すぐやめるんだ!!」
「飯田くん…!」


持つべきものは友…!と緑谷が少しジィンと胸を震わせた直後、彼を庇ってくれた飯田が高らかに挙手した。


「くじの引き直しを要求します!!」
「飯田くんもやってること変わらないよ!?かっちゃんは静かに、あと轟くん眠いのわかるけど「緑谷」だけで全て事を運ばせようとしないでよ!!」
「…悪ィ」

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