第75章 一文字異なる
「…爆豪」
補習の準備をしに、一度部屋へ戻ろうと階段を登ると。
爆豪と鉢合わせた。
「どうした?…階段で突っ立って。……あ、もしかして結果聞きに来た?」
「んなわけねぇだろ飲みもん下に買いに行くんだよ!!」
「おー、いってらー」
階段ですれ違った直後。
爆豪は足を止めて、俺を振り返った。
なんとなく、振り返るんじゃねぇのかなぁと思って立ち止まり、待っていた俺は笑ってしまい。
「何笑ってやがんだブッ殺すぞ!!」
といつものように、暴言を吐かれた。
「あっはっはっは、気になってんなら気になってるって言えよ!」
「あァ!?なってねぇっつってんだろ!!!」
「じゃあなんで振り返ったんだよ」
「忘れもんだバァアアカ!!」
「いや、忘れたんならバカはおまえだろ」
ズカズカとまたすぐ隣を通って、二階に戻っていこうとする爆豪に。
今度は、ひとしきり笑った俺の方が振り返った。
「爆豪」
「ンだよ、まだなんかあんのか!!!」
「俺さ。向に告って来た」
「………!」
今度は、確実に話の続きが気になって立ち止まった爆豪が、俺を振り返る。
「……ほォ。……で?」
「振られた」
「……。」
ザマァ、とでも言われるだろうかと思っていたのに。
爆豪はこんな時ばかりは何も声を荒げずに。
そうかよ、なんて短い言葉をかけてきた。
「だからさ、これで俺はようやくおまえのこと応援出来る」
「……は?」
「だって全っ然進展しねぇんだもんおまえら!!見てるこっちがイライラするって!!!」
嘘だ。
俺がイライラしてたのは、爆豪と向の距離が近かったから。
羨ましかったから。
妬ましかったからだ。
「ほら、俺が向好きって言ってもさ。なんかいいなーってくらいだし。なんかモヤモヤして嫌だったんだよ」
これも嘘。
なんかいいな、なんて軽い気持ちじゃない。
向のこと、本当に大好きだった。
振られた今でも大好きなまま。
「………ほら、なんつーかさ……」
「……おまえのこと、俺友達だと思ってるから。ライバルじゃなくて、応援してやりたい」
これだけは
本当