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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第75章 一文字異なる




ーーーPM4:00


「さァ昨日言ったね、世話焼くのは今日だけって!」
「自分で食べる飯ぐらい自分で作れ!」


カレー!
と楽しげにラグドールが発表した直後、既に眠そうな顔をしている向を1-Aの生徒達が振り返った。


『…ん?』
「カレーだってさ、やったな!」
『…眠い』
「反応鈍っ」
「上鳴、向別にカレー好きじゃねぇんだってさ」
「ウェイ!?」


だよな、と切島が疲れた顔で問いかけてきたのに対し、向はガクッと頭を縦振りして、舟を漕いだのか頷いたのかわからない反応を見せた。


「じゃあなんで月水金カレー?」
『…なんとなく』
「ワンパターン女が」
「向、炊事の班誰と?」


爆豪の言葉に被せるように、切島が声を発した。
あ?と眉間にしわを寄せる爆豪に背を向け、切島が向だけに話しかけてくる。


『…誰だっけ』


ぼーっとしながら呟いた向の前に切島が立ち。
ぐにっ、と。
真顔で、向の両頬を引っ張った。


「俺とだよ」


そう言って、むにむにと柔らかい向の頬を引っ張って遊んだ後。
その感触にハマったらしい切島は目を輝かせ、ようやくパァっと笑った。


「うぉっ、すげぇ伸びる!」
『いたい』
「おぉ、悪り。でもほら、餅みてぇ」
『餅じゃない』


彼女の頬で遊び続ける切島の行動は容易に、爆豪の沸点を超えさせる。
なんの警告もなく、切島の腕を叩き落とそうと彼が腕を振りかぶった。
二人の腕がぶつかる直前。
ガキンッ!!という音を立てて、切島が自身の腕を硬化させ、爆豪の腕を弾いた。


「……あ?」
「……。」
「おいコラ切島ァ…!気安く触ってんじゃねぇぞ!」
「なんで爆豪が怒んだよ。彼氏でもねぇんだからほっとけって」
「あァ!?」
「わっ、おまえら相澤先生こっち見てるって!このタイミングはマジやめとけ、夕飯抜きになるぞ!」


慌てる上鳴の言うことなど聞く気がない爆豪は、いつものように両手で爆発を起こし。
すぐにハッとして、向を見た。


「…っ」
『…?』


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