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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第66章 返答は、また後日




「どの君が本物なの?僕に対してだけ違う態度を取るのは…僕の個性が欲しかったから?」
<…どの私も本物。出久の言う通りだよ、ごめんね優しさにつけ込もうとして>
「…どうしてそこまで僕の個性が欲しいの?」
<役に立つからさ>
「……向さんの個性と掛け合わせるってことだよね。君のベクトル変換は力を生み出すものじゃない。元々存在している力の向きを変えるだけ…つまり、強大な力が必要なら、君の個性とはまた別に、その力を発生させる素が必要になる」
<……。>
「普通の人間相手に復讐するなら、言い方は悪いけど君の力だけで果たせる。けど出来ないってことは…」
<…たくさん考えてくれてとても嬉しいんだけど、もうこの話は誰にもする気が起きないんだよね>
「……え?」


じゃあ、また林間合宿で。
彼女がそう言ったのを聞いて、僕は慌てて言葉を続けた。


「待って!!!」
<……耳が…っ…>
「あぁっごめん!でも待って!僕は、その…君が戦おうと思ってる相手に、心当たりがあるから…っだから、待ってほしい」
<………。>
「今の僕じゃ確かに、一緒に戦ったって君の足手まといにしかならないかもしれない…っでも、戦えるように強くなるから、あと2年待って欲しい」
<…そんなに悠長な話してられないなぁ>
「じゃああと1年!!」
<…誰を思い浮かべてるのかわからないけど、復讐に協力するヒーローはだめでしょ>
「復讐は、させない。でも僕も一緒に戦うから…!」











君1人で、戦わないで















電話口から聞こえてきた声に。
ソファに深く座り俯いていた向は、深くため息を吐いた。


(…1年なんて、誤魔化せるわけがない)


分かってはいても、なぜか。
必死に言葉を投げかけてくる友人の言葉に、冷たい言葉を返す気にはならない。
彼が強くなって、一緒に戦ってくれる。
もし本当にそんなことが叶うなら、と。
いつもボロボロになって戦いから帰ってくる彼のことを、一瞬だけ考えて。


(…心強いかもしれないけど)








友達が怪我をするのは、嫌だな









そんなことを考えた。
だから、いろんな感情を押し殺して。
一言だけ返した。
































『……考えておく』




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