第55章 友達リクエスト
ずっと、ずっと引っかかってた。
幼馴染が言ったあの言葉。
あいつスゲー良いやつなんだけどなー
ずっと、ずっと。
わからなかった。
良いやつってわかってるなら、なんで?
なんだけどなーって、どうしてそんな残念そうに。
俺がおまえらに何した?
別れろって、一言でも言った?
おまえらの仲、引き裂こうとした?
なんもしてない。
俺がバカすぎて覚えてないだけかもしれないけど。
本当に、なんもしてない。
良いやつだってわかってたなら
引いたなら、引いたって正直に言っても良い
だけどそんなことぐらいで
鬱陶しがったりしないで欲しかった
仲間外れにしないで欲しかった
友達でいてほしかった
「……なぁ、深晴。俺らさ」
『ん?』
「………友達?」
『うん。電気もそう言ってたよね?』
「………あぁ、言った」
『友達でしょ?』
「………うん。ごめんな」
『なんで謝るの?』
「………いや。申し訳なくて」
(……この違いは、なんなんだろうなぁ……)
あいつらも、言ってくれれば良かったのに。
俺がどうしたって聞いたら、軽い気持ちで。
俺たち二人でいたい時もあるよって。
おまえ良い奴だけど、察してくれよって。
いつもみたいに笑って、バカだなって教えてくれれば。
俺だって、そこまでバカじゃない。
本当に二人のこと応援してた。
言われれば、納得したよ。
きっと寂しくてたまに遊びに誘ったりしただろうけどさ、今みたいに自分からおまえらと縁を切ることまでしなくて済んだかも。
おまえらには隠してたけどさ。
結婚式のスピーチだって、実はもうちょっとだけ。
考えてた。
「二人は俺の親友です」
「これからも俺たち三人は親友です」
「ちょっと寂しいけど」
「たまにまた三人で遊ぼうぜ」
バカだからスピーチの内容暗記できなくたって。
そこだけ自信満々に言おうと思ってた。
でももうきっと。
それすら覚えておく必要なんてない。
だっておまえらの声すらもうずっと聞いてない。
こんな遠い知り合い程度の、旧友は。
結婚式には、呼ばれないだろう。