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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第53章 そうじゃない関係




「Hey 向!!暇なら、俺とお茶しない!?」
『うわはースタバ奢ってくださいスタバ!!!』
「…おい」


相澤の目の届く範囲から向が姿を消し、30分ほど経った頃。
暇を持て余した向が相澤の元へ戻ってきた。
時間潰すのにお金使って店に入るのも、なんて理由を口にして、彼女は相澤の隣に突っ立ったまま、特に会話をするでもなく通り過ぎ行く人を見ていた。
そんな彼女をお茶に誘ったのは、暇を持て余しに持て余した末、ブリッジをした腹の上に子ども達を乗せてリスナー達にフラッシュを焚かれ続けていたサービス精神旺盛のマイクだ。
O☆CHA!!と彼が意味もなく繰り返すと、リスナーの人だかりがキャーーーーーと意味もなく沸き立つ。
目の前でブリッジをしてみせたところで、熱狂的ファンの熱は冷めやらないらしい。


「フーー、いやーファンが多すぎるのも考えものだよなァ!!あー頭に血ィのぼっちまった」
「警備員に追い出されろ騒音野郎が」
「向、何飲みたい?」
『えっ、本当にいいんですか』
「オーケイオーケイ!!保須じゃ大変だったらしいじゃん?慰労っつーことで!んじゃイレイザー、プレゼント・マイク、休憩入りまーす!!」
「おい」


諌める相澤の声も聞かず、マイクは「カモンカモンカモンカモンベイべ!!」と繰り返しながら向を連れて行こうとする。
言ったら聞かない頑固者同士であることを知っているからか、相澤はそれ以上声を荒げて二人を引き止めようとはしない。
その態度を見て、向が歩き出したマイクの後を追いかける。
鼻歌を歌い続けながらスタバの列に並び、メニューを受け取ったマイクは周囲の視線などには慣れっこなのか、特に注目を集めていることに気後れしている様子はない。


『…あれ?これいいんですか?』
「ん?何がだ?」
『生徒と二人きりでスタバに並ぶのってアウトでは』
「あぁ、何にも問題ねーよ!写メ撮られたってポーズ決めときゃいんだこんなもん!!」


そう言いつつ、遠巻きに写メを撮ろうとしていた一般人に向けて、マイクが「肖像権って、知ってますかァアアァアア!!!?」とシャウトする。
この人私よりもカフェが似合わないな、と向がカウンターの前に立ち、マイクが指差していたものを頼むことにした。

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