第46章 公私混同etc
雄英に入って、自分よりももっとヒーロー向きな個性を持った周りの生徒に圧倒されて、自信を失って。
血反吐を吐きながら努力し続ける日々が嫌になって、学校に来ることすら嫌になり始めた時だった。
一人の女生徒が、声をかけてきた。
「ここから、帰っていく人が見えるよね」
彼女は言った。
一緒に外を眺めていてもいいかと。
勝手にしろと返事を返して、その日から毎日のように、彼女は途方にくれる相澤の隣で、放課後ぼんやりと時間を過ごした。
ぽつりぽつりとその無駄な時間で話すようになって、彼女のことを知っていった。
そして、いつからか。
隣に立つ彼女を煩わしいと思わなくなって。
隣に彼女がいないと、物足りないと思うようになって。
窓を眺めたまま、視線を合わさない彼女の横顔を、盗み見るようになった。