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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第46章 公私混同etc




『モブヒーロー、カオナシ!』
「「却下!!」」


昼休みスタート直後。
向は身体を右に向け、上鳴に真剣な眼差しを向けた後、ノートに書き込んだヒーロー名を『ジャジャン!』という自作のサウンドと共にお届けした。
「カオナシはモブどころの騒ぎじゃねぇし!」と爆笑する上鳴と、「むしろヒーローってよりヴィランだろ」、と本気で向を心配し始めた切島に、向は悔しそうな顔を見せる。


『4限目をフルに使って考えた自信作が…!』
「ちなみに爆豪は?」


完全に興味本位で話題を振って来た上鳴に、爆豪が向と同じく、自分のノートに落書きしたヒーロー名を見せつける。


「爆・殺・神」
「ついに天界に召されたぁああ!!ぶわっはっはっは!!」
「あぁ!?召されてねえ召すわ!!!」
「どうやって!?あ、そっか爆殺して!?なんだよそのたたり神っつーかおまえなら腐れ神か!?そんなんどこの湯屋でもお断りされるわ!!」
「あっはっはっは!!カオナシと腐れ神奇跡のコラボ果たしてんじゃねえよ!!」
「誰がジブリだ死ねクソカスども!!」
『あっ、ハイ舞い降りてきた』


亡霊ヒーロー、ベイカーストリート。
自信満々に言った向の肩に、生温かい目をして、穏やかに微笑む切島の手が置かれた。


「ほんと、向映画好きなんだな」
『結構見る』
「映画のチョイスは良いからそのセンスをもう少しネーミングセンスに振り分けたいな」


前の座席でいつも通り和気藹々と話す友人たちを見て、未だノートを開いたままにしていた緑谷は、わなわなと震え始める。


(い、言いたい……!「AHAHA、気づいたら向さんのヒーロー名落書きしてたんだ、これどうかな」って…!ナチュラルに言いたい…!でも普通に考えたら気持ち悪いか!?何勝手に考えてんのって感じかな!?むしろ普通に考えなくても気持ち悪いかな、僕ヤバいやつかな!?)


「ベクトルヒーロー」


その声にハッとした緑谷が振り向くと、いつからか脇に立っていた轟が、緑谷のノートを見下ろしていた。
よく通る彼の声に、騒いでいた爆豪たちが振り返り、向と轟の目が合った。


「…緑谷、考えてやったのか」
「へっ!!?あっ、ごめん気づいたら研究ノートにメモしてて!!勝手に、ごめんね!」
『採用』

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