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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第46章 公私混同etc




向はスッと緑谷の前で軽く挙手した。
ハイタッチを求められ、(いいのか、これ触って良いのか…!?)なんて動揺を顔面に書き殴った様子の緑谷も、軽く手を挙げる。
パンッ!と向は男らしく緑谷とハイタッチをした後、座席から立ちながら轟に問いかけた。


『もしかして、話しにきた?』
「あぁ。事務所の指名の件で」
『エンデヴァーさんのね。…そしたら、私今日昼ご飯焦凍と食べようかな、みんなは「クソ舐めプ野郎と相席なんてするわけねぇだろ!!!」……じゃあ、行こうか、焦凍。勝己、職員室には一緒に行く?』
「………………」
『あぁ、じゃあ食べ終わったら声かけに行くから』


((向の猛獣使い感が増していく…!))


取扱注意な爆豪と普通のボリュームで会話をして、彼の意図を汲み、諦めるところは諦めて、近づくところは近づいて距離を取る向。
切島たちに軽く断りを入れて、向と轟が教室を後にしたところで、向は問いかけた。


『焦凍、二人じゃなきゃ話せないことがある?良ければ出久たちも誘いたい』
「…いや、別に周りを気にするような話はねぇよ。ただどうすんのかなって気になっただけだ」
『じゃあ座席が空いてたら、一緒に座らせてもらおう』
「あぁ」


食堂のメニューを眺める向の横顔を、轟がジッと見つめる。
5分ほど悩んだ後、向は混んできた人の列にハッとして、またカレーの列に向かった。


「深晴」


轟が向の腕を捕まえて、ズルズルと蕎麦の列へ引っ張って行く。
向は一瞬目を丸くしていたが、大人しく轟の提案に乗ることにしたのか、二人で冷たい蕎麦の列に並んだ。


『…生蕎麦?』
「あぁ、下手な店より美味い」
『さすが雄英』
「…昨日」
『ん?』
「返信、しづらいようなこと言って悪い」


二人の目が合い、数秒間。
向は小さく開けていた口の口角を上げ、パッと笑う。


『あっ、ごめん返信忘れてた。申し訳ない』
「…いや。悪ぃ、調子乗った」
『調子に…?…え、快い返事しなかったよね』
「でも悪い気はしなかった。おまえは俺を避けないし、仲直り出来た」


今はまだ、それで良い。
轟は大人びた笑みを浮かべて、向を見下ろした。

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