第41章 ただの茶番さ
後輩らしい接し方をしてくれる13号に、内心ホッとしながら。
デスクに腰掛けたオールマイトは、老人のように背をすぼめ、遠い目をしてお茶をすすった。
(……ん?)
携帯の振動に気づき、オールマイトがメッセージを開いた。
それは親友、塚内からの忠告だった。
塚内<さっき伝えた女の子、なんだか奇妙な印象を受けた。こんな勘当たらないに越したことはないんだけど、当たらなかった試しがないから伝えておくよ>17:26
彼女は、大人に言えない秘密を持っている
そんな気がする、なんて曖昧にメッセージを締めくくった友人の心中を想像しながら、オールマイトは向のことを思い浮かべた。
(…大人に言えない秘密?…一体、なんのことだろう)
相澤くんなら何か心当たりがあるだろうか、と何の気なしに、ミッドナイトに書類の束を押し付け返していた相澤に声をかけた。
「ねぇ、相澤くん。ちょっといいかな」
「今度はなんですか…!いい加減仕事に集中させてくださいよ…!」
「あ、ごめんすぐ済むから…えっとね」
後輩の視線とは思えないほど鋭い目で見つめてくる相澤に気後れしながら、オールマイトは焦りつつも、端的に問いかけた。
「向少女のこと、どう思ってる?」
「………あぁん………?」
(後輩に、あぁん?って言われた……!!!)
もうこの職場辛い!!と顔を両手で覆ってしまったオールマイトに対し、相澤はなぜそんなことを聞いてくるのかと尚更鋭い視線をオールマイトに浴びせる。
「………どうとも、思ってませんが?」
「あっ、えっ、うん、わかった」
「………何が聞きたかったんです」
「えっ!?なんでもない、なんでもないよ!!」
「……………………いや、なんでもなくはないでしょう。俺が、向をどう思ってるかなんてそんなのただの一生徒に決まってることをどうしてわざわざ聞いてきたんです?」
「相澤くんの早口怖い…!逆パワハラだよ…!ちがう、えっと…聞き方を間違えたんだ!向少女について、特別に感じたことない!?違和感というか、1人の少女として見た時にね!?教師の勘というか、そういうので!!」
「フワッとしすぎてなかなか要領得ないんで要約してください」