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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第5章 先生としてどうなんですかそれは




「ちなみに除籍はウソな」


トータル成績結果の開示直前。
相澤は悪びれもせず、緊張感のピークを迎えていたクラスの生徒たちに向かってそう告げた。
一瞬、一部の生徒たちがキョトンとした顔をしたのを面白そうにハッと笑ったあと、付け足すように言葉を繋げた。


「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」
「「「はーーーーー!!!?」」」


緑谷、飯田、麗日が叫んだ後、相澤は特にもうコメントをすることなく成績を開示した。
目の前に表示される順位に、それぞれが驚嘆と悲哀、歓喜の含んだ声を上げる。


1位八百万百
2位轟焦凍
3位爆豪勝己
4位飯田天哉
5位向深晴
I
I
I
10位麗日お茶子
I
I
I
21位緑谷出久


理解してはいたが、やはり、といった試験結果に、緑谷が深くため息をついた。
隣に立つ向は、『はっぴゃくまん…ひゃく…?』と八百万の名前をどう読んでいいのかわからず、眉間にしわを寄せている。


「ももですわ、向さん」
『おぉ…キミがはっぴゃくまんもも?』
「あれはヤオヨロズと読みますの。よろしければ、私も深晴さんと呼ばせていただけませんか?」
『あ、全然全然。好きに呼んで』


背後から急に話しかけてきて、また急にプリプリと背景に花を散らす八百万に、向が首を傾げる。
その後頭部に軽いチョップをした相澤は、隣にいる緑谷と、キッと睨みつけながら振り返り『わぉ先生でしたか睨んでなんていませんすみませんでした』と腰を急に低くした向に保健室利用カードを差し出した。


「緑谷、向、リカバリーガールのとこ行って治してもらえ。明日からもっと過酷な試験の目白押しだ」
『うわぁ…バレてた』
「バレてないと思ってたのか。おめでたいな」


以上、解散。
相澤はそれだけ言い、カードを渡して立ち去っていく。


「…なんだったんだろう…あの先生…」
『……んー…途中まで本気だ……ったのでは…』


向はカードの裏から文字が透けて見えたのを確認し、裏返してそのメッセージを読んだ。


<放課後、職員室に来るように>


冷静に、そのメッセージを向が見つけなかったらどうなっていたのだろうと考えてしまったが、深く考えないようにした。

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