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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第38章 救いようがない




「オーーーーイ!!救助訓練じゃ赤点だな向!!?リビングで溺れるなんて初体験ダァーーー!!!」
『あの、一々シャウトしないでください。殴って気絶させますよ』
「ヒーロー志望とは思えねぇ残虐さ…有名人が手繋いで歩いてりゃそりゃネットにぐらい流れますぅーーー!!!おっさん達には浮いた話なんて一つもないんだから、生徒の惚れた腫れたぐらいしか酒の肴になるものなんかないんですぅーーー!!!」
『悔い改めろ、開き直るな』
「反省なんかするかァ!!!んだよ向、俺は……俺ァてっきりおまえがこいつを幸せにしてくれるもんだと………!ぐす」
『泣き始めた…!?いやいや、私と一緒になったって消太にぃは幸せになんかなりませんって』
「バカヤローー!!!てめぇの目はブラックホールか!!!」
『何それ、教師陣で流行ってるんですか?13号の鉄板ネタ?』
「知ってるか向、男はな、萎びてくると齢4才までしか発現しないと言われている個性を新たに開花され、る、さる…開花することが出来るんだよ…ミッドナイトにも引けを取らないその名は」

「個性、加齢臭」なんて自虐ネタでグスングスンとテーブルに突っ伏して泣き始めるマイク。
彼にもう一度水の入ったグラスを渡し、向は死んだように眠っている相澤を見つめた。


『…何か言ってました?』
「うぅ、なんか……?なんも、こいつが酒に付き合うなんて何年振りだ……?相当ギブス生活でストレスでも溜まってたんじゃねぇか……泣けてくるぜ…生徒を守るためっつってもよー…ぐす…っ嫁入り前の男の顔にィイ傷がァアア」
『嫁入り前の男って』
「近寄りがたさが倍にィイ!!!」
『あぁ静かに、そうですね、ワイルドさが増しましたね』
「ワイルドさじゃねぇ!!小汚さだろ!!」
『情緒不安定なのかな、擁護したいのか貶したいのかどっち』
「昔はもっとシャキッとしてた頃もあったんだぜ?でも女追い出してからこのザマだよ」
『…女?』
「カーノジョ」


向はまたブツブツと呟き続けるマイクを見つめ、『着替えてきます』と伝えた。
自室で着替えながら、言葉を頭の中で反芻する。


(……追い出して…ってことは…一緒に住んでたんだ)


今の彼では想像つかないが、「シャキッとしてた」ということは、その彼女に言われでもしていたんだろう。


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