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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第35章 さぁ原点へ




何が?
と仏頂面を変えることなく、再度同じ言葉を繰り返してくる相澤に、向が言いづらそうに答える。


『その…アレだよ』
「どれだ」
『それっぽいというか…両思い的な』
「……へぇ?」
『余裕綽々なのはなぜ…?大人だから?』
「……大人だからだよ」
『…あーなるほど、子どもをからかって遊んでるわけだ』
「そこまで暇じゃねぇよ」
『っ…嘘ついてるとか』
「嘘の方がいいのか」
『…よ……いや、いやいやいや』
「選べ」
『…選べ?』
「どっちがいい?」
『……選べるものじゃないし』
「選べるとしたら?」


俺と、このままか。
それとも、もっと近づくか。


「…なんて、冗談だ」


そう言って相澤はテーブルに左肘をつき、自身の口元を左の手のひらに置いて、首を傾け。
斜め下のアングルから見上げて来た。


「…おまえ」


顔真っ赤だぞ。
という彼の指摘に耐えきれず。


『っ……!歯磨いてくる!』


と赤面してテーブルからガタッと荒々しく立ち上がった向を、相澤がゆっくりとした瞬きをしながら見送った。
そして、考えた。



















(………ガキだな)





























クスクスと、静かに笑う相澤と。
洗面台の前に立ち、真っ赤になった自分の顔を見つめた向の表情は、あまりにも違っていた。
彼女は、人知れず苦悶の表情を浮かべ。
この一瞬に、しがみついていたいと願ってやまない自分に、一言だけ呟いた。






















































『………………………眠ろう』








































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