第26章 モブの隠し事
どうしていつも。
恋愛映画には、劇的な展開が必要なんだろう。
運命的な出会いを果たしたり。
相手を好きになるきっかけが訪れたり。
ヒロインと2人、手に汗握る大事件を乗り越えて。
ヒロインの為に、たくさんのライバルと戦って。
ラストで、ようやく告げられる。
俺はおまえが好きなんだよって。
おまえが俺を救ってくれたから?
あぁ、なんて、俺には縁のない物語だろう。
どうして、モブが相手じゃダメなのかわからない。
あいつを好きになったきっかけなんて、そんなのない。
大事件が起きたって、俺は敵1人殴れない良いとこ無しで。
いつからこんなに、あいつしか見えなくなった?
恋愛モノの登場人物になんてなりたくない
ずっとそう思ってた。なのに今は
ライバルに勝って、蹴落として、あいつに伝えたい
<<爆豪、エゲツない絨毯爆撃で三回戦進出ーーー!!!>>
ありきたりな映画を、俺と一緒に見に行こうって
その帰り道、おまえに告げるんだ
俺はおまえが好きなんだよって
ーーー雄英体育祭、本戦2回戦4組目
ーーー切島鋭児郎、ベスト8敗退