第27章 おまえが一緒
いない。
いない。
どこにもいない。
どうして。
「…ハッ……げほ、けほ…!」
息を切らして走り続ける。
どこ行った。
向、一体どこに。
「……っはぁ……」
深く、深く。
息を吐いて。
「……ッ……向!!」
我慢できなくなって、叫んだ。
周りの観客が俺を見る。
向けられた無数の顔に目を凝らし、彼女を探す。
それでも、見つからない。
ダメだ、もう時間がない。
<<これでベスト4が出揃った!!!>>
「あ、あの……どしたんすか?そんな焦って」
いない。
いない。
どこにも。
「……っ……向…!」