第25章 仲良しだから
((((とは、言えないんだよなぁ…))))
言葉に詰まる爆豪を、クラスメート達が生温かい目で見守って、彼の言いたいことを代弁してやりたい気持ちにかられる。
「席が……ッさっきより空いてんだから…!こんな…っ…固まって座る必要ねぇだろ!」
『うん。でも離れて座る理由もないし』
「……っ…クソナードが勝ち上がるはずねぇ、轟に次当たるてめェに、隣で、解説してやるって言ってんだよ!!」
『うん、ありがとう。でも鋭児郎が一緒に考えてくれるって』
「…」
(爆豪ちゃん、ファイトよ)
(爆豪、ちょっとかわいいかも…)
(爆豪、男らしく言っちまえ!)
(オイラも女子の隣がいい)
(飯田くんピンチだよ!!!)
(でも、彼女にその気はなさそ☆)
心の内で、応援する蛙吹。
ギャップ効果に、まんまとハマる耳郎。
じれったい!と言ってしまいそうになる切島。
相変わらず煩悩まみれの峰田。
飯田くん推しの葉隠。
興味なさげに見えて一番興味津々の青山。
「どけやアホ面邪魔だ!!」
「結局!?ほんとキレやすい子!!そんなおまえとこれからも友達でいてやってもいいけど、俺は絶対、シャイボーイのおまえの気持ちなんか汲んでやらないんだから!!」
胸ぐらを引っ張られ続ける事に関してはベテランの上鳴が、顔面の大半をジャージで覆われながら、爆豪に向かって叫ぶ。
「誰が友達だ、クソモブのくせに肩並べるつもりでいるんじゃねぇよ!!」
「並べてませんー!たまに合コンのメンバー揃わない時に(しゃあねぇな…呼ぶ?あいつ)的な感じで声かけるレベルの友達で満足ですぅー!」
「あァ!?ちょっとは悲しめや!!」
『仲良くしなよ』
「十分仲良しだと思うわ、深晴ちゃん」
『そうかな、この二人いつもあんな感じ』
「だって男の子だもの」
『うーん…?鋭児郎は、男の子だけど勝己とも電気とも仲良いよ』
「ケロ…私のお母さんが言ってたの」
『なにを?』
「男同士の友情にヒビを入れるとしたら、それはいつだって女のせいって」
『………………梅雨ちゃん』
「なぁに、深晴ちゃん」
お母さん、歴戦の戦士?
と問いかける向の質問に、蛙吹が「それ、たぶん百戦錬磨の間違いよね」と訂正を入れた直後。
<<圧倒的に攻め続けた轟!!とどめの氷結をーー>>
というマイクの声が会場に響く。