第24章 おまえと一緒
本日の向は度々、彼女を見かけた人たちにセンスがないと罵られている。
それは向が持つ空き缶の内容物のせいだと彼女自身も理解しているのか、観客席に戻るまでに、ようやくその甘い飲み物を飲み干して、ゴミ箱に捨てた。
「深晴、おしるこちゃんと飲み切った?」
どす黒い雰囲気を纏った爆豪を連れて戻ってきた向に一瞬面食らいながら、耳郎が少しからかうように声をかけてきた。
『…響香、飲みたいなら言ってくれれば差し上げたのに』
「いやいや、運動した後にあれはヤバイって」
『酷い言われようだ…やっぱりこの世の中は「ただしイケメンに限る」って言葉がまかり通っているんだなぁ…』
「いやイケメンだっておしるこ飲んでたらちょっとアウトじゃない?」
「僕のこと?」
「いや青山だけは無い」
プルプルと微かに震える青山を視界に入れないように、耳郎がニヤニヤとしたまま向に話しかける。
「あのさ、深晴と相澤先生って…」
<<今回の体育祭両者トップクラスの成績!!まさしく両雄並び立ち今!!緑谷バーサス、轟!!!>>
週刊誌好きな彼女の言葉を遮るように。
マイクが大きく息を吸い込み、雄英体育祭本戦、二回戦の開始を告げる。
<<STARーーーーT!!!!!!>>