第23章 今こそ別れめ、いざさらば
治療が終わり、控え室へ入った。
兄に連絡しようと、ロッカーから出した携帯には、一件のメッセージが。
そのメッセージの差出人の欄を見ると、知らないメールアドレスが表示されていた。
<メアド変わってたりする?テレビ見たわ!お前らしかったなー、また来年楽しみにしてるから。あと、携帯買ったから、一応連絡先教えとく>
なんて。
優秀なくせに、どこか抜けている彼からのメールの本文には、誰から飯田へ宛てたものなのか、差出人の記載がなかった。
「……っ……」
飯田は歪む視界で、必死に指先を動かして。
それでも、なんとかメッセージを打ち終わり、懐かしい彼へと送信した。
<名前を書け!誰のものか、わからないだろう!>
ーーー雄英体育祭、本戦4組目
ーーー飯田天哉、ベスト16敗退