第17章 良いとこ見せたいお年頃
<<ここで、ダークホースの登場だーー!!!それもそのはず、向はイレイザーの秘蔵っ子!2人は親戚で、歳の離れたソウルメイッ>>
突如、マイクの解説が途切れ、代わりにバキッ、ドコッというバイオレンスなサウンドが会場にお届けされた。
目を丸くした轟と、爆豪を追い越す直前。
向は飛行角度を急に下げ、顔面から地面に飛び込んで、数メートルに渡って、地面を回転しながら転がった。
ドォン!という地雷の音と爆風が向の存在を消し去った後、釈然としないまま、また飛び出した轟と、爆豪の遥か後方。
大規模な爆発が起こり、その爆音に、一心不乱に走っていた生徒たちが振り返る。
<<げふ……えぇっと、失礼しました…後方で大爆発!?何だあの威力!?>>
爆風に乗って、緑谷が宙を飛び、先頭を走る2人を猛追してくる。
頭上を飛び抜けていく緑谷を見て、爆豪と轟は妨害し合うのをやめ、駆け出した。
「俺の前を、行くんじゃねえ!!!」
「後ろ気にしてる場合じゃねえ…!」
緑谷を追い抜き、駆け抜けて行く2人。
緑谷は先ほどまで乗り物として使っていた装甲で、故意に地面をぶっ叩いた。
激しい轟音が響き、顔面ボコボコに腫れ上がったマイクの解説が、またハイテンションへと戻っていく。
<<さァさァ序盤の展開から誰が予想出来た!?今一番にスタジアムへ還ってきたその男ーーー>>
<<緑谷出久の存在を!!!!>>
遅れてゴールインした轟と、爆豪。
そしてさらに遅れて、他の生徒たちがゴールインする。
「ようやく終了ね、それじゃあ結果をご覧なさい!」
レースが終わり、十分後。
ミッドナイトのアナウンスで、順位が会場に映し出される。
1位A組緑谷出久
2位A組轟焦凍
3位A組爆豪勝己
4位B組塩崎茨
5位B組骨抜柔造
そして、マイクのアナウンスにより妨害行為を受けてしまった、全身傷だらけの向の順位は
40位A組葉隠透
41位A組青山優雅
42位A組向深晴
予選突破、ギリギリのライン。
まさかの、予選通過組最下位であった。