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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第17章 良いとこ見せたいお年頃




「それじゃあ早速第一種目行きましょう!いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者がティアドリンク!さて運命の第一種目!!今年は……」


コレ!!!
と18禁ヒーロー、ミッドナイトがポーズを決め、用意されていたモニターに第一種目が表示される。
その文字を見て、何人かの生徒が口々に呟いた。


『障害物競走』


先ほどの甘い匂いが気になり、『もっかい嗅がせて』と直談判した向の願いは叶うことなく、正面を無理矢理向かされる形で頭を横から爆豪に鷲掴みにされたままの向が呟いた。


「計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4km!我が校は自由が売り文句!ウフフフ…コースさえ守れば何をしたって構わないわ!」


さあさあ位置につきまくりなさい!
というアナウンスを受け、生徒たちは用意されたスタートゲートへと視線を向ける。
向に触れていた手を爆豪が離し、「行くぞ」といつものように言ってしまってから、ハッとした。


「あ」
『………あ?』


やらかした、という顔をした爆豪が、照れ隠しなのかキッと向を睨みつけてきた。


「ついてくんじゃねぇ!」
『いやそれは無理』
「お前ら緊張したりしねぇのかよ、夫婦漫才は他所でやれ!」
「黙れやアホ面誰が漫才なんかするか!!」
「………今のは夫婦ってとこを否定する所だろうがーー!!!バカーーー!!!」


泣きながらポコポコと爆豪の背を叩いた上鳴が、振り返った暴君にすね蹴りの仕返しをされる。


「深晴」


痛みでグラウンドを芋虫のようにのたうちまわる上鳴を横目に、爆豪が向の名前を呼んだ。


「見てろ」
『…え?』


爆豪が向に背を向けた直後。
スタートゲートに設置されていた、信号機のような3つのランプが点灯する。






その瞬間





他人を蹴落とし駆け上がる




戦いの火蓋が切って落とされた。




「スターーーーート!!!!」




ミッドナイトの掛け声に合わせ、構えていた生徒たちが一斉に駆け出した。
何百人が押し寄せるスタートゲートはその人数が一度に通過するにはあまりにも狭く。
スタート直後、まるで満員電車のような人の塊がスタートゲート内に出来上がる。

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