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風向きが変わったら【ヒロアカ】

第17章 良いとこ見せたいお年頃




俺が一位になる。
そんな大胆かつ端的すぎる選手宣誓を終えた爆豪に、学年中から猛抗議が殺到する。
しれっとした顔で戻ってきた爆豪は、『やっ』と軽く手を挙げた向の隣に当然のように並んで立ち、主審のミッドナイトを見上げた。


『おつかれぃ』
「だりぃ」
『でしょうね。ところでなんで勝己が選手宣誓なの?』
「あ?今さらかよ」


入試一位が俺だから。
と相変わらずの見下した眼を向けてくる爆豪は、ハッと軽く鼻で笑ってみせながら、返事を返した。


『マジか。本当にバカじゃないんだ』
「黙れやブッ殺すぞ脳みそ1g女」
『普通にトリ頭って言えばよくない?』


あぁ、あの表現は良かったね。
なんて話題を選手宣誓に戻した向は、爆豪を見つめ、親指を立てて、自分の首をかっ切る仕草をした。


『せめて跳ねの良い踏み台になってくれ』
「あ?」


学年に向けてそんな言葉を言い放っておきながら、リプレイとして爆豪の真似をした向の頭を、爆豪がガッと鷲掴む。
お助けください!!と顔面を鷲掴みにされながら、向が隣に立つ切島の袖を掴んだ。


「ホラホラじゃれんなって、ミッドナイトが第一種目発表するぞ」
「じゃれてねーよ死ねクソ髪野郎!」
『離して勝己何も見えない』


お前、危機感0なのな、という切島の声に、手の呪縛から解放された向が不思議そうな顔をした。


『危機感?』
「顔面爆破されるかもとか、他の女子なら身構えるだろ」
「あァ!?」
『………おぉ、なるほど。ははは、それもそうだねぇ』


勝己の手、甘い匂いするね。
なんて爆豪の手を取って、その手のひらに触る向を、爆豪と切島が信じられないものを目にしたかのような表情で見つめる。
自分の片手に、向の両方の手が触れているのを見て、爆豪は思った。









(手、ちっさ)





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