第16章 朝焼けに佇む
「10点中2点ってどう頑張りゃそんな雑魚過ぎる点数が取れるんだ!?俺にはどう頑張っても一生そんなクソみてぇな点数取れそうにねぇからビックリだわ!」
「うぇ!?深晴マジかよ!?俺でも4点だぞ!」
『待って、反論させて。10点とはいえ問題は2点問題が5つだったよね?ってことは、私と電気の間に隔たっている格差は1問分、大差ない』
「つまりてめェは5問中1問しか正解出来なかったってことだろ!頭悪すぎて引くわ!」
『引くなよ!押してこいよ!』
「あれっ、なんかその言葉身に覚えが…おいおい深晴、このままだと、お前までバカたちが住まう毎日愉快なお国の住人扱いされるようになるぞ!反論してやれ!」
『そんな国あったら是非行ってみたい楽しそうすぎる』
「で?誰が文脈が必要ないって?必要ないんじゃなくて、文脈考えれねェの間違いだろ!」
『ハイ、爆豪先生』
向がピッと片手を挙手し、それを見た爆豪は腕を組んで、足もついでに組み直した後、「ハイなんですかァ向サン」と言葉を返す。
意外とノリ良いのね、なんて呟く上鳴に見守られながら、向は眉間にしわを寄せて、爆豪に問いかけた。
『先生は小テスト、何点だったんですか?』
「満点に決まってんだろクソモブ死ね」
『満点!?嘘だ!!』
爆豪が机の中から小テストの解答用紙を取り出し、向を見下したムカつく笑みを浮かべながら、これ見よがしにヒラヒラと見せつけてくる。
『嘘だ…!私は認めないぞ!』
「いや、そこは認めよ?ようこそバカの国へ!」
『私も愉快な仲間達に仲間入りか…ちょっと…いいかも』
「分かったら二度とモブ共が生意気な口きいてんじゃねぇ」
「深晴、さっき何ため息ついてたん?」
「無視してんじゃねェ殺すぞ!!」
『勝己、それでタンクトップどこの?』
「てめェは本当に文脈考えろや!!タンクトップは今関係ねぇんだよ!!」
授業の合間の暇な時間。
爆豪をブチギレさせて遊ぶという中々スリリングな時間の過ごし方を楽しんでいる向と上鳴に、緑谷は感心した声を漏らした。
「…あのかっちゃんをイジれるってすごいよな…」
中学の爆豪からは考えられない彼の立ち位置。
そんな彼と楽しげに話す向を見て、緑谷はまたもやもやとした気持ちを抱いた。