第4章 弟
珊瑚
「……これで、京緋にも触れるね…。」
今までは、「記憶」を消してしまうと思って触れられずにいた。
京緋の顔を触ると、手から温もりが伝わってくる…。3年間ずっと望んでいたことが叶ったと思うと涙が出てくる。
珊瑚
「……いつになったら目を覚ますの?もうこれ以上お姉ちゃんを待たせないでよ…。」
「ピ……ピ……ピ……」と心電図の音だけが鳴り響いていた…。
それは、なんて言っているのか分からないが京緋の声のような気がしていた。
病院を後にし、人通りの多い道に出たところで 見慣れた男が歩道に置かれているイスに座っているのに気づく。