第4章 弟
弟の名は「京緋」。私の5つ下の弟だ。昔は私にベッタリで、よく遊んでいたもんだ。とても可愛かった弟が、3年前のある日、突然道で倒れ病院に搬送されたと連絡があった。
私は、道中に花を買って病院に向かった。
病院に着き、看護師さん達に軽く挨拶しながら 京緋がいる病室に入る。
珊瑚
「京緋~。全然来れなくてゴメンね~?」
京緋
「………………………………」
返事をする筈がない。ずっと意識がないのだから…。一応、心電図は付けているが、無情にも その音だけが部屋に響く。
ふと、窓辺の棚に目をやると 真新しい花束が生けてあった。
珊瑚
「まただ。一体誰がお花を持ってきてるんだろう…?」
いつも京緋に会いに来ると、必ず新しい花が生けてあり、お礼を言いたくても一度も会ったことが無いから出来ないでいた。きっと、京緋の友達だろうと思う。
珊瑚
「……あ!ちょっと京緋聞いてよ~!」
返事のしない京緋に私は色々と話しかけた。
仲間が出来た事、ムカつく奴がいる事、小柄で中性的な人の事、そして、私の力を封印してくれた人の事…。